米国で輸入食品での疾患増加

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.10(2017.05.10)を発表した。

注目記事

【CDC EID】輸入食品関連の疾患の調査

 米国疾病予防管理センター(CDC)は、輸入食品に関連して発生した疾患アウトブレイク(米国、1996~2014年)について調査を行った。

 米国では輸入食品の割合が上昇しつつあり、水産食品の大半および果物類の約半分が輸入品である。本調査により、輸入食品(特に魚や農産物)に関連した食品由来疾患アウトブレイクの発生件数が、絶対数としては少ないものの徐々に増加していることが明らかになった。食品安全性維持の鍵となるのは、アウトブレイク調査のための新たな手法と連邦レベルでの規制の権限である。

 1996~2014年に発生し、調査により輸入食品との関連が示されたアウトブレイクは計195件で、患者数は10,685人、入院患者数は1,017人、死亡者数は19人であった。輸入食品に関連したアウトブレイクは、原因食品が報告されたすべての食品由来疾患アウトブレイクに占める割合が上昇している(1996~2000年の1%に対し2009~2014年は5%)。輸入食品に関連したアウトブレイクの件数は、1996~2000年の年平均3件から2009~2014年は18件に増加した。

 輸入食品関連のアウトブレイクで最も多く報告された病因物質はサバ毒(ヒスタミン)およびサルモネラで、患者数が最も多かったのはサルモネラおよびサイクロスポラを病因物質とするアウトブレイクであった。水生動物が輸入食品関連のアウトブレイクの55%およびアウトブレイク患者の11%の原因食品となっていた。

 他方、農産物は同アウトブレイクの33%およびアウトブレイク患者の84%の原因食品であった。水生動物を原因食品とするアウトブレイクでは患者数の中央値が3人であったのに対し、農産物によるアウトブレイクでは患者数の中央値が40人であった。

 サバ毒(ヒスタミン)を病因物質とするアウトブレイクでは1件を除くすべてで魚が原因食品であった。サルモネラアウトブレイクの77%が農産物に関連しており、その内訳は果物(14件)、有核野菜(10)、発芽野菜(6)、ナッツ・種子類(5)、香辛料(4)、およびハーブ(1)であった。

 原産地に関する情報が得られたアウトブレイクは177件(91%)であった。アウトブレイクに最も多く関連していた地域は中南米・カリブ海諸国で、次いでアジアであった。全部で31カ国が関連し、メキシコが最も多くのアウトブレイク(42件)に関連していた。その他の国で10件以上のアウトブレイクに関連していたのは、インドネシア(17件)およびカナダ(11件)であった。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.10(2017.05.10)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201710m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 乳用牛の雄の子牛との接触に関連して複数州にわたり発生した多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク(最終更新)

【Emerging Infectious Diseases(CDC EID)】
1. 輸入食品に関連して発生した疾患アウトブレイク(米国、1996~2014年)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 食品安全:小規模小売業者向けの簡略化された規則をEFSAが提案

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 市中の感染性胃腸疾患に関する第2回調査(IID2調査)

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダのロタウイルス感染症:保健審議会のための背景情報

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報