中国での交通手段・交通事情

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中国の交通手段と、それらの最近の事情について概観してみたい。

都市内での移動は地下鉄が便利

上海トランスラピッド。トランスラピッドはドイツで開発された交通システムで一部が中国に技術移転されている。前面に見える「SMT」はShanghai maglev train(上海リニアモーターカー)の略である。
上海トランスラピッド。トランスラピッドはドイツで開発された交通システムで一部が中国に技術移転されている。前面に見える「SMT」はShanghai maglev train(上海リニアモーターカー)の略である。

 広大な国土を持つ中国であれば、長距離の移動はやはり飛行機が便利だが、中距離なら高速鉄道が便利だ。中国の高速鉄道は2007年に始まったばかりだが、現在は多くの幹線で高速鉄道が走り、総延長が約15万kmほどに達してると言われている。

 高速鉄道は、いわゆる新幹線タイプのもののほかに、上海トランスラピッドというものがある。これは2004年に商業運行を開始した磁気浮上リニアモーターカーで、最高商業運転速度は時速431kmであり、2015年10月時点で常設の運行としては世界最高である。

 中国の高速鉄道は“最優等列車”であり、一般人民にとっては料金は高い。しかし、通常の鉄道は安価に利用できる。

 地下鉄のある都市も多い。筆者は広州、上海、青島などで利用してきた。とくに筆者のような外国人にとって、行った先の都市に地下鉄があれば便利この上ない。スマホ時代ではあるが、地下鉄の路線図は簡単に手に入り、それに訪ねたい名所や旧跡を書き込んでおくこともできるので筆者はよく活用している。

 地下鉄のよさは、目的地と降りるべき地点が予めはっきりさせておくことができるところだ。中国でなくとも、慣れない土地でのバスでは、なかなかこうはいかない。終点まで行くと決まっていれば気安いが、的確な停留所で途中下車というのは難しいものだ。なお、中国のバスは相当に電化が進んでいる。

自動車はいつでも右折OK

中国のタクシーは安価で利用しやすい。中国語ができなくても、行き先は筆談で伝えることができる。
中国のタクシーは安価で利用しやすい。中国語ができなくても、行き先は筆談で伝えることができる。

 都市間の移動手段としては、網の目のように発達している高速道路も便利である。高速道路では、日本ほどではないがサービスエリア、パーキングエリアの買物事情も充実しており、地域の特産品なども入手可能だ。

 自動車について中国の事情を確認しておくと、まず、車両は日本とは逆の右側通行である。そして、右折については独特のルールがある。信号が赤であれば、もちろん停止しなければいけないが、右折車両は交差する道路の通行を確認しながら右折することが許されている。日本でも、常時左折可の標識がある交差点ではこれが許されるが、中国では一般的なルールになっている。そして、中国では片側3車線の道路が多く、そのいちばん外側(右側)を走っている車が少ないため、概して右折はしやすい。

 自動車でもう一つ興味深いことを紹介しよう。街角に大型のLED掲示板が設置してあるのだが、これには駐車違反などの違反をした車のナンバーが表示されるのだ。一般のドライバーにとっては、その好ましくない車のナンバーがわかってもあまり御利益はないし、普通は個人が特定されることもないだろう。しかし、そのようにさらされると思えば、交通違反はしないようにしようという気分にはなるだろう。

 旅行者の場合、自動車は訪問先の人に乗せてもらうとか、レンタカーということになるが、もう一つ、もちろん、タクシーがある。

 筆者は散策中に迷子になったことがあるのだが、そのような場合はタクシーが助かる。タクシードライバーには英語が通じない人も多いが、中国語の発音ができなくても心配はない。行き先を書いてドライバーに見せればOKである。そして、概して中国のタクシー料金は安く、相当な距離を移動しても安価に収まることが多いので、気軽に利用できる。

免許不要で価格も安い電動バイク

電動二輪、電動三輪は安価な上に運転免許も不要。ユーザーが多く、さまざまなタイプのバイクが販売されている。
電動二輪、電動三輪は安価な上に運転免許も不要。ユーザーが多く、さまざまなタイプのバイクが販売されている。

 中国の都市内での移動手段として、最近目立つのは二輪や三輪の電動バイクの多さである。とくに、食事時間帯に多くなる。朝は朝食を食べに行く、またはテイクアウトのためにたくさんのバイクが走る。夕食時も同様だが、また生鮮の超市(本連載第12回参照)周辺が買物客のバイクで埋め尽くされる。

 電動バイクは日本円で約2万円からと安価なので、購入しやすい。そして、中国では電動バイクには運転免許が不要である。そのことが利用者の多さにつながっているだろう。それほどスピードが出るものではなく、事故は起きにくいだろうと思われているようで、二人乗りもしばしば見かけるし、中学生でも気軽に乗っている。また、共有のバイクも多い。

 筆者は電動自転車を活用しているが、日本でももっと電動バイクが普及してもよいように思っている。

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About 横山勉 99 Articles
横山技術士事務所 所長 よこやま・つとむ 元ヒゲタ醤油品質保証室長。2010年、横山技術士事務所(https://yokoyama-food-enngineer.jimdosite.com/)を開設し、独立。食品技術士センター会員・元副会長(http://jafpec.com/)。休刊中の日経BP社「FoodScience」に食品技術士Yとして執筆。ブログ「食品技術士Yちょいワク『食ノート』」を執筆中(https://ameblo.jp/yk206)。