屋台村の楽しみと北京ビキニ

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中国には夏季を中心に繁盛する屋台村が各地に存在する。夕方になると、家族・親戚や友人同士、会社同僚などが集まって、杯を重ねる。どのグループも実に楽しそうだ。

さながら日本の秋祭りの雰囲気

広場の屋台村。
広場の屋台村。

 屋台村は広場や車の入れない道路沿いに展開することが多い。広場の場合、個々の店はいくつかの席を設けて、料理と酒類を提供する。食材の魚介類や食肉、野菜を店頭に並べている。お客がこれらを選ぶと、調理して席まで運んでくれる。道路沿いにはそうした屋台だけでなく、小規模な専門店もある。座っているお客のために、大きな扇風機が備わっていることもある。

 すぐに食べられる落花生や枝豆をそろえていることもある。筆者はこのような店が好きである。すぐに飲み始められるためである。電動二輪車などで屋台村に乗り付けて茹でたての枝豆や殻付き落花生などを販売する農家の方もいる。固定の店のそれらよりおいしく、安価でもある。

 日本の神社で開催される秋祭りの雰囲気である。ただし、大人向けなので、綿菓子やりんご飴は見かけない。たこ焼き、食肉の串焼き、焼サンマといった具合である。弓手ゆんで=左手にこれらを持ち、馬手めて=右手に酒類を持てば、怖いものはない。

 酒類はビールが一般的で、サーバーによることが多い。通常、ビール酵母によって濁っているので、よりおいしく感じられる。また、席に白酒を持参するお客もいるが、持込料を請求されることはない。

禁止している都市もある「北京ビキニ」

小規模専門店。臭豆腐(シュードーフ)などの豆腐料理も人気だ。
小規模専門店。臭豆腐(シュードーフ)などの豆腐料理も人気だ。

 屋台村を楽しむ人々は何を話題にしているのだろう。日本の会社(組織)の同僚同士で飲む場合、上司の悪口などが酒の肴になる。しばしば、しかめっ面になることもある。しかし、中国の屋台村でそのような表情は観たことがない。所属組織が話題になることがあっても、悪口ではないだろう。もちろん、国政や国際問題もこの場には相応しくない。

 夏季の暑い頃には、北京ビキニも多くなる。これをご存じない方であれば、「ビキニ」から豊満な若い女性の姿を想像したかも知れない。大きな間違いで、ビキニ姿はおじさんである。シャツの腹部分を、胸までたくしあげた姿を「北京ビキニ」という。豊かなのは胸でなく、腹である。

 これらが眼に入るたび、筆者も負けていないので、自分もそれをしたいと思ったものだ。それでも、一人で来ているわけではない。中国の知人の前で、それをするわけにはいかないと自制した。

 確かに、美しい光景とはいいがたい。いくつかの都市では北京ビキニを禁止する条例を設けているという。ただし、それはやり過ぎだ。服装のありかたを法律により定めるのは間違いである。

 行政が努力すべきは、もっと大きな課題になる。例を挙げれば、進行する温暖化への配慮である。SDGs(持続可能な開発目標)のため、CO2排出削減などを目標にしてほしい。夏季の猛暑が抑制できれば、北京ビキニも減少するに違いない。

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About 横山勉 99 Articles
横山技術士事務所 所長 よこやま・つとむ 元ヒゲタ醤油品質保証室長。2010年、横山技術士事務所(https://yokoyama-food-enngineer.jimdosite.com/)を開設し、独立。食品技術士センター会員・元副会長(http://jafpec.com/)。休刊中の日経BP社「FoodScience」に食品技術士Yとして執筆。ブログ「食品技術士Yちょいワク『食ノート』」を執筆中(https://ameblo.jp/yk206)。