電力がない(1)

北海道の農場
北海道の農場
北海道の農場
北海道の農場

今年の夏も電力不足の心配があるようだ。農業の現場でも電力はたくさん使うから、対策は検討しておかなければいけない。そこで改めて電力について考えてみると、おかしなことがこれまたいろいろ。

北海道でも原発が停止に

 ここ北海道でも、全国で唯一稼働していた泊原子力発電所3号機が5月5日に停止するという報が入ってきた。

 じゃあ今年は、昨年まで本州に送っていた恩返しでこっそり本州から電力を送っていただこうと考えたが、限界がありそうだ。今年1月、北海道―本州間の海底送電ケーブル3本のうち1本が船舶の錨で損傷して、運用容量が60万kWから30万kWに減少しているのだ。10kmのケーブルの交換が必要で、北電のWebサイトには「4月中旬に工事が完了する見込み」とあるが……。

農業でも電力はたっぷり使う

 ところで農業と電気は関係するのか?

 ハイ、たっぷりと関係いたします。

 当農場付近は、気温30℃を超える日は年間におよそ5日から7日間だが、福利厚生のため事務所には当然エアコンがあり、たばこ嫌いな私のために空気清浄機が2台、シャワールームに洗濯機と冷蔵庫がなぜか2台ある。冬期間は電気暖房機をいちばん弱く使用して春を待つ。

 農場全体を見ると、30Aの電灯契約、3相200V・12kWの契約で、8kWの電気溶接機、5kWのコンプレッサーと、もろもろの電気機器を動かす。夏と秋には49kWの臨時電力を使い麦の乾燥施設を使う。

 ここまでの営農に使用する電気料金は年間100万円くらい。

 しかし、これだけでは麦と大豆の乾燥機は動かないので、移動式発電機を使う。その能力は150kVAで、一昨年までは1日1万5000円のリースを年間14日くらい使用していた。が、昨年は電力不足にビビってしまい、新品360万円の移動式発電機を購入した。

 この移動式発電機、昨年4月までなら第2次排ガス規制の物が購入できた。5月以降のオーダーではすべて第3次排ガス規制の発電機となり、「建値で100万円上がります」と言われたので4月中にオーダーした。だが、制御装置が震災に遭った地域で作られていたために、納品は6カ月後の10月になった。

 聞くところによると、公共工事ではこの第3次排ガス規制のエンジンの発電機や重機でなければ入札資格がないらしい。

 さて今年はこの発電機が活躍するのか。基本的には出番なくおとなしくしていてほしのだが……。

49kWの臨時電力とは

 先ほど“夏と秋には49kWの臨時電力”と書いた半端な数字にお気づきでしょうか。これは実に変わったシステムになっている。

 農業用の場合は年に2回=基本1カ月を2回、50kW未満で使用することができる、ということになっている。「本来ならば常用で50kWの契約をしていただくところ、年に数日しか使用しないのでkW日当たりの単価は高いですが、トータルでお安くなる臨時電力で契約いたしますよ」という実に巧みな商魂たくましいやり方である。

 なお、この臨時電力を使用するに当たり、電柱のトランスを容量の大きなものに交換する必要があるが、もちろんこれは自己負担になる。

 で、こんなことがあった。電気会社とのやり取りで「いつから使用したいですか? 1週間以内の工事だと5万円高くなりますけど」と聞かれたので、「いいえ、10日以内であれば問題ありません」と答えたが、トランスの交換工事会社は翌日やってきた。一応、5万円高くない金額で工事をやっていただけたが、あのときの答え方次第では無駄な出費になるところだった。というか、こんな商売ってありなんですかね?

宮井能雅
About 宮井能雅 22 Articles
西南農場有限会社 代表取締役 みやい・よしまさ 1958年北海道長沼町生まれ。大学を1カ月で中退後、新規就農に近い形で農業を始め、現在、麦作、大豆作で110ha近くを経営。遺伝子組換え大豆の栽培・販売を明らかにしたことで、反対派の批判の対象になっている。FoodScience(日経BP社)では「北海道よもやま話」を連載。