2018年食の10大ニュース[4]

簡便化志向と健康志向が強まり、一方身近な商品の高品質化の動きも。

  1. 「食の簡便化志向」への対応進む
  2. 「健康志向」ますます強まる
  3. 高級食パンブーム
  4. 「餃子」が居酒屋の看板メニューに(!?)
  5. 「サバ」人気高まる
  6. 根強いウイスキー人気に影?
  7. 築地市場閉場、豊洲市場開場
  8. プラスティック製ストローの使用廃止
  9. 水産物資源の減少続く
  10. 改正出入国管理法成立

1. 「食の簡便化志向」への対応進む

 食事の用意にかける時間をできるだけ短くしたいという「食の時短ニーズ」が高まっている。スーパーマーケットやコンビニ各社がこのニーズに対応する方策を打ち出している。イオンやマルエツ、いなげやなどが揚げ物そうざいに新機軸を打ち出したり、イトーヨーカ堂やコンビニ各社、さらには無印良品などが時短対応の冷凍食品に注力している。

 時短ニーズ対応は、食提供業のボーダーレス化を一層進めている。

2. 「健康志向」ますます強まる

 高齢社会が進む中、健康志向の高まりがさらに進化している。2018年、糖質制限ダイエットの認知度が一気に高まったようだ。あるマーケティング会社の調査では、何らかの糖質制限をしている人が5割を占め、そのうち2~3割の人が牛肉や豚肉の摂取も控えている、という結果が出ている。

 外食業界でも低糖質メニューを導入する企業が増えている。糖質を抑えた商品や肉代替商品などの新たな市場が拡大する可能性もある。

3. 高級食パンブーム

 国内パンの市場規模は2017年に約2兆8000億円で、前年比1.3%増だったという。その中で、2斤1000円近くという高級食パンの専門店が勢いを見せている。2013年創業の「乃が美」(大阪市)や「嵜本」(同)がその代表格。

 2013年セブン&アイ・ホールディングスが「金の食パン」を発売して、高級食パンブームに火をつけた。前述2社の店舗は首都圏にも進出、ブームは全国規模になりつつある。首都圏では「銀座に志かわ」や「俺の生食パン」が高級パンブームを押し上げている。

4. 「餃子」が居酒屋の看板メニューに(!?)

 居酒屋業界の苦戦が続く中、焼鳥に続く看板メニューとして「餃子」が注目されている。昨今、「餃子」は若い女性にも人気で、居酒屋にとって客層拡大メニューとして期待できる。

 餃子は料理としても酒のつまみとしても魅力があり、価格もリーズナブル。店にとっても調理は焼くだけ、材料のコストパフォーマンスもいい。「餃子居酒屋」を標榜する店も増えている。

5. 「サバ」人気高まる

 生活習慣病の予防・改善に効果的という青魚の栄養素、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を簡便に摂取できることや、コストパフォーマンスがいいことなどから、「サバ缶」が高い人気となった。テレビや雑誌などでサバ缶を使った料理も数多く紹介され、人気に拍車をかけた。その人気は、スーパーの売り場で品薄になることもしばしば。サバ人気は缶詰だけでなく、茨城県の酒造メーカーがサバに合う日本酒を開発したり、完全養殖サバの供給といったことにも広がっている。

6. 根強いウイスキー人気に影?

 2008年の「角ハイボール」の大ヒット以来、一貫して伸び続けているウイスキー。消費量が伸び悩む酒類の中で、ワインとともに順調に消費量を延ばしている。世代別で20代の消費支出がワインを抜いている。

 それだけ、将来性にも期待が持てるのだが、ウイスキーの消費量が伸びる半面、モルト(原酒)不足という状況を招いてしまった。そのため、国産ウイスキーの大手「サントリー」が、「山崎」「白州」といった高級ウイスキーの販売中止を相次いで発表した。

7. 築地市場閉場、豊洲市場開場

 2年ほど延び延びになっていた築地市場から豊洲市場への移転が、2018年10月に実施された。日本の食を象徴し、世界的ブランドである「築地市場」の名前が消えたことになる。土壌汚染問題、卸売場棟、仲卸売業者棟など施設の規模問題など、運営が始まった豊洲市場の課題はかなりある。不安を抱えながらのスタートだが、築地市場の後釜として今後が注目される。

8. プラスティック製ストローの使用廃止

 すかいらーくホールディングスが、傘下のファミリーレストラン「ガスト」で12月10日、プラスティック製ストローの使用を廃止した。廃プラスティックによる海洋汚染など環境問題に対応するため。

 外食業界は提供商品が直接的に「自然の恵み」に依拠している。その意味で、地球環境(自然環境)に敏感な経営が強く求められる。これまでも、熱帯雨林を消滅させかねない「割りばし」の廃止に業界全体で取り組んでいる。業界大手の今回の取り組みが業界全体に波及するか、注視したいところ。

9. 水産物資源の減少続く

 数年来のことだが、水産物資源の減少傾向が止まらない。今年に入っても、昨年から引き続き「イカ」が不漁だ。「サンマ」も不漁で、捕れたものも小型のものが多かった。また、駿河湾の宝石とも呼ばれる「サクラエビ」も不漁で、とうとう2018年冬の漁は中止された。

 原因はいろいろ言われるが、大きくは地球の自然環境の変化ということだろう。近年の異常気象の原因に通じるものがあるのだろう。

10. 改正出入国管理法成立

 ご多分にもれず慢性的人手不足に悩む外食業界や食品小売業。外国人労働者を導入する企業は多い。2018年、「改正出入国管理法」が成立した。成立まで、与野党間で激しい論戦が繰り広げられ、外国人労働者の不都合で悲惨な現状も国会の論戦に上った。改正法がどんな実を上げていくのか、企業現場に求められることは大きい。

 このほか、食提供業のボーダーレス化については、グローサラントの一層の拡大を予想している。また、省力化・生産性向上を図るICTやロボティクスも見逃せないテーマとなっている。


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石川秀憲
About 石川秀憲 6 Articles
フードジャーナリスト いしかわ・ひでのり 大学卒業後、流通専門の出版社「商業界」に入社。「飲食店経営」をはじめ数誌の編集長、新規事業部長、出版部長等を歴任の後、2005年退社。その後、食に関わる講演・執筆活動を続ける。現在、名古屋文理大学フードビジネス学科(教授2007~2016年)、戸板女子短期大学(非常勤講師2006~2016年)、金城学院大学(2008~2013年非常勤講師)等の教育機関で、食品経済関係、食品流通関係の講座を担当してきた。ほかに、水産庁の「おさかな語り部」を務める。