生の小麦粉喫食でのサルモネラ

No.08(2023.04.12)

ファラフェル(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国の複数州小麦粉を使った生の生地または衣の喫食に関連したサルモネラ感染アウトブレイクが発生している。米国で昨年発生した冷凍ファラフェルに関連の大腸菌O121感染アウトブレイクで、供給元のメーカーは関連製品の回収を開始した。

注目記事

【米国】小麦粉に関連のサルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis)感染アウトブレイクの原因食品を特定するため、さまざまなデータを収集している。

 各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。これまでに聞き取りが行われた患者7人のうち6人が、生の生地または衣の喫食を報告した。患者が喫食を報告した生の生地・衣に共通の原材料は小麦粉のみであった。

 患者に関連した小麦粉の具体的なブランド名を特定するため調査が進められている。CDCは以前から、クッキーやケーキの生の生地・衣を喫食しないよう繰り返し注意喚起を行っている。

【米国】冷凍ファラフェルに関連の大腸菌O121感染アウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生した大腸菌 O121感染アウトブレイクを調査した。

 情報が得られた患者22人のうち5人が入院し、1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者は報告されなかった。

 州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行った。聞き取りが実施された患者18人のうち15人がALDIの店舗で買い物をしたことを報告し、これらの15人のうち14人が、ALDIで購入したEarth Grownブランドの冷凍ファラフェル(豆のコロッケ)の喫食を報告した。

 2022年10月7日、ミシガン州農業・農村開発局(MDARD)は、患者の自宅からEarth Grownブランドの冷凍ファラフェル検体を採取した。同州保健福祉局(MDHHS)で実施されたWGS解析の結果、当該検体から分離された大腸菌株が患者由来株と近縁であることが示された。この結果は、患者が冷凍ファラフェルの喫食により感染した可能性が高いことを意味している。

 2022年10月7日、Cuisine Innovations 社(ニュージャージー州 Lakewood)は、Earth Grownブランドの冷凍ファラフェル製品「Vegan Traditional Falafel」および「Vegan Garlic & Herb Falafel」の回収を開始した。

 ALDIによると、同チェーンの店舗で販売されたEarth Grownブランドの冷凍ファラフェル製品の供給元はCuisine Innovations社のみである。

 2022年12月1日時点で本アウトブレイクは終息している。

関連記事:食品安全情報(微生物)No.21(2022.10.12)「豆のコロッケ冷凍品のO121」
https://www.foodwatch.jp/nihs202221m

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.08(2023.04.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202308m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小麦粉に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis)感染アウトブレイク(2023年3月30日付初発情報)
2. 冷凍ファラフェルに関連して複数州にわたり発生した大腸菌O121感染アウトブレイク
(2022年12月1日付最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. サルモネラ症 ―2019年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 伝達性海綿状脳症(TSE)の2021年のサーベイランス結果に関する欧州連合(EU)要約報告書

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 欧州の食品安全:リスク評価における連携および若手科学者の能力養成を支援

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(08)