韓国産エノキダケのリステリア

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.06(2020.03.18)を発表した。

注目記事

【米国】エノキダケに関連して発生しているリステリア感染アウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、エノキダケに関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクを調査している。

 疫学調査および検査機関での検査から得られたエビデンスは、「Product of Korea」(韓国産)の表示があるエノキダケ製品が本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示している。

 州および地域の公衆衛生当局は、患者に対し、発症前1カ月間の食品喫食歴に関する聞き取り調査を行った。その結果、患者22人のうち12人が、エノキダケ、ポルトベロマッシュルーム、ホワイトマッシュルーム、ボタンマッシュルーム、クレミニマッシュルーム、キクラゲ、マイタケ、ヒラタケなどのキノコの喫食を報告した。

 ミシガン州農業・農村開発局(MDARD)は、患者1人がエノキダケを購入した食料品店1店舗でキノコ検体を採取して検査を行った。その結果、エノキダケ2検体からL. monocytogenesアウトブレイク株が検出された。これらのエノキダケ製品は「Product of Korea」の表示があり、Sun Hong Foods社が出荷したものであった。カリフォルニア州で製品の追加検査が実施されている。

 2020年3月9日、Sun Hong Foods社は「Product of Korea」の表示があるエノキダケ製品(UPCコードは7 426852 625810)の回収を開始した。消費者、食品提供業者および小売業者は、当該エノキダケの喫食・提供・販売を避けるべきである。同社が出荷したエノキダケのみで本アウトブレイクのすべての患者の説明はできない。FDAは、同社が販売したエノキダケの提供元を特定し、他の流通業者が当該エノキダケを受け取ったかどうかについて明らかにするための調査を進めている。

【米国】葉物野菜の安全性向上のための行動計画

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、葉物野菜の安全性を向上させるため2020年に実施予定の取り組みを概説した「葉物野菜の志賀毒素産生性大腸菌(STEC)汚染に関する2020年の行動計画(2020 Leafy Greens STEC Action Plan)」を発表した。

 葉物野菜は食品由来疾患アウトブレイクに関連することが非常に多い農産物である。2009〜2018年にかけて、FDAおよび米国疾病予防管理センター(US CDC)は、葉物野菜との関連が確認された、または疑われた食品由来STEC感染アウトブレイクを米国で40件特定した。

 FDAのHahn長官および食品政策・対応担当のYiannas副長官は、FDAの行動計画の重要性を強調し、予防、対応および認識不足問題への取り組みを重視することを明確にしている。

【欧州】食品がコロナ感染源や伝播経路になるエビデンスはない

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、世界中の多くの国々に被害をもたらしているコロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクに関する動向を注意深く監視している。現時点では、食品がこのウイルスの感染源または伝播経路となる可能性があることを示すエビデンスは存在しない。

 EFSAのHugas主任研究員によると、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)や中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)など、コロナウイルス関連の過去のアウトブレイクから得られた知見では、食品の喫食を介した感染は起こっていないことが示されており、現時点では、新型コロナウイルスがこの点で異なることを示唆するエビデンスは存在しない。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、今回のアウトブレイクでは中国の動物が最初の感染源であった可能性が高いが、このウイルスは、主としてヒトのくしゃみ・咳・吐息などによって排出された呼吸飛沫を介してヒトからヒトへと伝播する。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.06(2020.03.18)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202006m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 2018年の世界のコレラ発生状況

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)が葉物野菜の安全性向上のための行動計画を発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. エノキダケに関連して発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(初発情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. コロナウイルス:食品が感染源や伝播経路になることを示すエビデンスは存在しない

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 適切な食品包装:食品を安全かつ未来に向けて持続可能な方法で楽しむ