豆乳ブーム継続中

大塚チルド食品の「スゴイダイズ」シリーズ
大塚チルド食品の「スゴイダイズ」シリーズ
大塚チルド食品の「スゴイダイズ」シリーズ
大塚チルド食品の「スゴイダイズ」シリーズ

現在は第2次豆乳ブームと言われている。品質向上と健康への関心からと考えられる。新技術で無ろ過のものも登場したが、JASの規格上これを「豆乳」と呼べない状況が続いている。

各社が品質向上に努力

 豆乳ブームが続いている。現在は第2次ブームに当たり、約200,000klの年間生産量で推移している。第1次ブームは1980年頃にあり、各社が参入して生産量が拡大した。しかし、香りや味に難があったため、急激に市場が縮小した。現在のブームは豆乳の品質向上に加え、大豆の健康面への認識が浸透したことに起因するだろう。

 一晩水に漬けた大豆に水を加えながらすりつぶし、加熱・ろ過したものが豆乳である。原料浸漬・すりつぶし・加熱・脱臭等には、各社にノウハウがある。とくに、青臭みの基となる酵素リポキシゲナーゼの失活のために加熱工程は重要である。また、この酵素を欠いた品種「きぬさやか」等のダイズ育種も行われていて、豆乳の品質向上に貢献している。

JAS規格では3種類に分類

 ろ過した液を調製して製品とするが、JAS(日本農林規格)では豆乳の3種類を定めている。

(1)大豆固形分8%以上の「豆乳」。大豆固形分8%以上
(2)大豆固形分6%以上で植物油脂・砂糖類・食塩等を加えた「調製豆乳」。大豆固形分6%以上
(3)調製豆乳に果汁等を加えた「豆乳飲料」。原則として大豆固形分4%以上

 生産量に占める3種の割合は、豆乳13%、調製豆乳60%、豆乳飲料25%、その他2%である。大豆以外には何も加えない豆乳に比べ、味を整えた調製豆乳が消費者に好まれ、生産量に反映されていると言える。

 豆乳は、同様な目的に消費される牛乳とよく比較される。タンパク質含量は大差ないものの、脂質が半分程度であることが大きな違いになる。脂質の質やビタミン・ミネラルにも差異がある。どちらが優れているかといった比較は意味がなく、それぞれの特徴を理解して摂りたいものである。

無ろ過“豆乳”の悩み

 人気の豆乳だが、課題がないわけではない。豆乳を作れば、多量の水分を含んで腐敗しやすい「おから」が発生する。それを生じない新たな試みが進行中である。ダイズのすりつぶしをきめ細やかに行い、ろ過しないのである。ただし、種皮の除去と不要物の沈殿を防ぐ工夫は必要になる。大塚チルド食品「スゴイダイズ」シリーズ(写真)等が該当する。メーカーでは、ろ過工程とおから処分が不要で歩留りも高まる。消費者は、食物繊維も余すことなく摂ることができるのである。

 無ろ過のものも、ザラツキ等のテクスチャーにかかわる違和感はない。ところが、JASの規格から外れる(繊維質を除去が定められている等)ため豆乳とは呼べない。JASは5年ごとに見直しが行われており、前回は無ろ過の製品についても検討が行われた。ただし、風味に差異があるため、豆乳の範疇には含めないと決定されたと関係者からうかがった。豆乳関連メーカー間にも、さまざまな考え方があるようだ。それでも、「無ろ過豆乳」といった新範疇が加わる日が来るに違いない。パブコメがあるはずだから、次回は私も意見を述べるつもりである。

 海外でも、豆乳の消費量は伸びている。最も多く飲まれている国はタイで年間5.0l/人、これにマレーシアの4.0lが続く。日本は2.0lで、米国・カナダも近い値である。日本の豆乳製造技術は、世界をリードしていると確信している。さらなる普及に貢献できるに違いない。

横山勉
About 横山勉 55 Articles
横山技術士事務所 所長 よこやま・つとむ 休刊中の日経BP社「FoodScience」に食品技術士Yとして執筆。元ヒゲタ醤油品質保証室長、2010年独立。食品技術士センター副会長(http://fpcc.jimdo.com/)。ブログ「食品技術士Yちょいワク『食ノート』」を執筆中(http://blogs.yahoo.co.jp/teckno555)。