家庭での缶詰・びん詰の安全な製造法

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.20(2014.10.01)を発表した。

注目記事

【EFSA】効果的な育種プログラムなしにスクレイピー減少の可能性は低い

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)の専門家によると、ヒツジで伝達性海綿状脳症(TSE)抵抗性のための育種プログラムが効果的に実施されてきた国では、ヒツジでの定型(古典的)スクレイピーの発生が過去10年間にわたり減少している。

 EFSAは、10年前にスクレイピーのモニタリングおよびコントロールのための一連の取り組みが導入されて以来、欧州連合(EU)域内のスクレイピーの状況について評価を行ってきた。スクレイピーはヒツジおよびヤギを侵す致死的疾患で、ウシが罹患し一般的に狂牛病として知られる牛海綿状脳症(BSE)と同類の疾患である。スクレイピーがヒトに感染したというエビデンスは存在しない。スクレイピーの感染因子はプリオンと呼ばれるタンパク質の異常型であると考えられている。

 EFSAのBIOHAZパネル(Panel on Biological Hazards)は、感染群の検出・淘汰のみに依存し抵抗性のための育種プログラムを含まないスクレイピー撲滅対策は成功する可能性が低いと結論付けた。その理由は、スクレイピーという疾患の特徴と、定型スクレイピーの感染因子が数年間にわたり環境中で生残することである。

 EFSAの専門家は、特定の遺伝子型のヒツジは定型スクレイピーに抵抗性であり、育種により各飼育群の抵抗性を高めることが可能であるとしている。

 EFSAの専門家は、抵抗性ヒツジの頭数割合が一定の閾値を超えた場合、ヒツジの定型スクレイピーは消滅する可能性があると結論している。

【Government of Canada】家庭での缶詰・びん詰食品の安全な製造法

 家庭で製造した缶・びん詰食品は、作り方が適切でない場合、ボツリヌス症などの重大な疾患の原因となる可能性がある。

缶・びん詰製造の際に遵守すべき事項

・石けんとお湯で手を洗い、調理台表面・調理器具・装置の洗浄と殺菌を行う。缶・びん詰製造の全過程を通じてこれらを清潔にしておく。殺菌剤は、スプレーボトルに家庭用漂白剤5ml(小さじ1杯)と水750ml(3カップ)を入れて混ぜて作る。調理台表面や調理器具にスプレーし、1分おいた後に水道水で洗い流す。

・低酸性食品を缶・びん詰にする際には専用の圧力鍋(pressure canner)を使用する。これは缶・びん詰作りに最適化された大型の圧力鍋である。魚介類、食肉、野菜、ソースなどの低酸性食品の缶・びん詰作り用に記載された製造業者の指示を厳守する。このような低酸性食品は、食品中に存在している可能性があるボツリヌス菌の芽胞を破壊するためpressure cannerを使用しなければならない。

・果物、ピクルス、ジャム、ゼリー、マーマレードなどの食品は高酸性または高糖含量のためボツリヌス菌の増殖が起こらず、boiling water canner(熱湯で缶・びん詰を処理する鍋)を使用することで安全に作ることができる。調理法を遵守することが重要である。食品の安全性に影響するので、砂糖の代わりにペクチンを使用することはできない。ペクチンはゼリーやジャムなどのとろみ付けにしばしば使用される。

・トマトはどちらかというと高酸性食品であるが、缶・びん詰の際には安全性を高めるためにレモン汁、クエン酸、酢などを加えて酸性度を高める必要がある。

・生の食材を液体を加えずに缶・びん詰めにすることは安全ではない場合が多い。シロップ、ソース、塩水、酸性化剤などの適切な液体が缶・びんの中で食材を十分に覆うようにする。検証済みの調理法に従う場合は、調理法に指定された原材料の種類と量、缶・びんのサイズを変えてはならない。これらを変えると食品中に菌が生残して安全性に影響が出ることがある。

・推奨の調理法、温度、時間、圧力などを必ず守るようにする。

・缶・びんの蓋はしっかり締め、室温まで冷ました時に内側に向けて軽くくぼむことを確認する。保存していた缶・びん詰食品を使う際には、缶・びんから何か漏れていないか、異臭がないか、蓋を開けた際に液体が噴き出してこないかを確認する。

・缶・びん詰食品には家庭での製造日などを記載したラベルを貼る。最高品質を楽しむためには製造日から1年以内に使用する。

・缶・びん詰食品は涼しく乾燥した場所に保管する。缶・びんを開けた場合、食べ残しはすぐに冷蔵庫に入れる。

【EFSA】食肉の公衆衛生リスク/さまざまな動物種由来のひき肉

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)による科学的意見。

 ひき肉用の生鮮肉はサルモネラ属菌やベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)などのさまざまな病原菌に汚染されている場合がある。このような病原菌は、屠体の冷却からひき肉加工までの間5℃未満での保存が維持されなかった場合、増殖する可能性がある。また、リステリア(Listeria monocytogenes)およびエルシニア(Yersinia enterocolitica)は冷蔵下でもゆっくりと増殖し、保存期間が長引くと菌数がかなり増える。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.20(2014.10.01)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201420m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)が一般からの意見を考慮し食品安全の向上および食品由来疾患の予防促進のための規則案の修正版を発表
2. 食品由来疾患に対処する新技術を見出すための米国食品医薬品局(US FDA)の取組み

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. トルコから輸入のザクロ種子に関連して複数州にわたり発生したA型肝炎アウトブレイク(2014年9月15日付最終更新)
2. 有機発芽チアパウダーに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ感染アウトブレイク(最終更新)
3. 公衆衛生当局が食品由来疾患の探知にソーシャルメディアを利用(シカゴ市、2013~2014年)

【カナダ政府(Government of Canada)】
1. 家庭での缶詰・びん詰食品の安全な製造法

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 食肉の保存および輸送中の低温管理に関連した公衆衛生リスク(科学的意見)パート 2:様々な動物種由来のひき肉
2. 効果的な育種プログラムを実施せずにスクレイピーの発生が減少する可能性は低い

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 小規模食品事業の開業に関するセミナーを開催

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. 制酸薬の服用により胃腸炎患者が増えている可能性がある

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報