牛切り落とし肉の大腸菌対策

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.12(2012.06.13)を発表した。USDAは、O157:H7以外の血清型大腸菌6種類に対する対策を開始した。米国では東部を中心とした25州でサルモネラ感染アウトブレイクが起こっている。

注目記事

【USDA】生の牛切り落とし肉中の血清型の大腸菌対策を実施

 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、6月4日から、ヒトの疾患の原因となるO157:H7以外の血清型大腸菌に対して、ゼロ・トレランス(非検出)政策を開始した。USDA FSISは、牛挽き肉の主原料となる生の切り落とし肉について、6種類の血清型の大腸菌の検査を今後日常的に行う。これらの病原性大腸菌が検出された切り落とし肉は市場に流通することが認められない。

 対象となる血清型大腸菌は、O26、O45、O103、O111、O121、O145の6種類。1993年に大腸菌O157:H7が注目されたが、これ以外の血清群の大腸菌による疾患患者数はO157:H7による患者数を上回っている。

【US CDC】オハイオ州発のサルモネラ感染アウトブレイク調査

 米国疾病予防管理センター(US CDC)は、各州の当局と協力し、オハイオ州の1カ所の通信販売の孵化場に由来のヒヨコおよびアヒルのヒナに関連して発生しているサルモネラ感染アウトブレイクの調査を行っている。

 6月7日付情報では、サルモネラ(Salmonella Infantis、S. NewportおよびS. Lille)のアウトブレイク株の感染患者は25州から123人が報告されている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.12(2012.06.13)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201212m.pdf

今号の目次

【米国農務省(USDA)】
1. 生の牛切り落とし肉中の6種類の血清型の大腸菌を標的とした新しい対策を実施

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 複数州にわたる志賀毒素産生性大腸菌O145感染アウトブレイク
2. 生きた家禽に関連して複数州にわたって発生しているサルモネラ感染アウトブレイク
3. ヒトおよび食料生産動物由来の大腸菌株の抗菌剤耐性(米国、1950~2002年)

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 2004~2009年の欧州連合(EU)域内の食品の微生物汚染
2. ヒトおよび動物に重要な抗菌剤への細菌の感受性の評価に関するガイダンス

【英国健康保護庁(UK HPA)】
1. クリプトスポリジウム症患者が増加

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 2011年に食品関連インシデント(incident)の件数が増加
・エジプトから輸入されたフェヌグリーク種子に関連してドイツおよびフランスで発生した大腸菌O104感染アウトブレイク
・paan leafのサルモネラ汚染

【フランス国立衛生監視研究所(InVS)】
1. 動物由来食品における微生物学的ハザードのモニタリングと評価
・フランスのカンピロバクター感染症のサーベイランス(2003~2010年)
・フランスの家禽、ブタおよびウシから分離されたカンピロバクター株の抗菌剤耐性
・フランスのリステリア症サーベイランスの結果(1999~2011年)

【ProMed mail】
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