イチゴへの針混入事件に学ぶ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.03(2019.02.06)を発表した。

注目記事

【FSANZ】イチゴの異物混入事件

 2018年9月に発生したオーストラリア産イチゴの異物混入事件に関する報告書を、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)が保健大臣からの依頼を受けて作成した。

 依頼は「サプライチェーンに弱点があるのか、警察を援助するために我々に出来ることはあるのか、必要とされる体系的変更はあるのかについて調査すること」であり、この報告書では、食品規制機関、警察、業界が行った事件対応の内容や、今回の事件をもとに検討された勧告などがまとめられている。

※ポイント:オーストラリアでは、2018年9月に国内産イチゴに針が混入するという事件がありました。最初はクイーンズランド州での発見でしたが、模倣犯罪と考えられる事例も含めてオーストラリア全域で販売される複数のイチゴブランドへと影響が拡大し国家的な大事件となりました。

 この報告書では当時の事件対応をまとめた上で、今後同様の事件が起きた時の備えとして、食品事件対応プロトコールの見直し、政府機関同士や業界との連携(特に警察との関係)、トレーサビリティーの強化などを勧告しています。

 この報告書を読んでいて、日本で起きた冷凍ギョウザへのメタミドホス混入事件を思い出しました。あの事件から日本は何を学んだでしょうか。

【EFSA】一次産品モデル:一次産品から摂取される食品まで、フードチェーンのことなる

 段階で食事暴露を評価するためのEFSAの能力強化

 食事暴露は一般的に食品摂取データと汚染実態データを合わせて算出される。欧州食品安全機関(EFSA)が集めた食品摂取データは、包括的欧州食品摂取データベースに保管されている。しかし、汚染実態データが主に一次産品について報告されたものである化学物質については、保管されている食品摂取データと合わせても暴露評価に使えない場合がある。そのためEFSAは、食品摂取データを一次産品にまで分解したデータベースを作成した。23カ国、94,532名分の26,573,088件の一次産品の摂取データが記録されている。

※ポイント:欧州20カ国以上にデータコールができるので、EFSAのデータ収集・蓄積の規模にはいつも感心します。今後EFSAでは汚染物質や残留農薬などのリスク評価がさらに充実していくでしょう。

 汚染物質については、EFSA設立から10年以上が経ち、主要な汚染物質についての評価はほぼ実施しているので、今号でご紹介しているカリステギンも含めて、最近はマイナー路線になっている印象があります。

【ANSES】リヨンのフランス行政裁判所による判決

 フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は、リヨンにあるフランス行政裁判所がグリホサートを原料に含むRoundup Pro360の販売承認を無効とする判決を2019年1月15日に出した。ANSESは申請時の評価が誤りだったかについては反論する。

 2016年に、遺伝毒性の可能性がある補助剤を含むグリホサートを原料とした126製品の販売承認を取り消している。現在はフランスで販売されているすべてのグリホサート製品の再評価を行うとともに、その代替品の評価にも取り組んでいる。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.03(2019.02.06)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201903c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. 表示が好きな人なんていない-食品でなければ
2. Codex

【EC】
1. 食品偽装ネットワークの会合の議事録(公開バージョン)
2. 意見募集:飼料添加物規制評価
3. 査察報告書:アルバニア
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 化学物質混合物の遺伝毒性評価
2. タンパク質のアジュバント性/免疫原性評価を支援するための文献レビュー
3. 一次産品(RPC)モデル:一次産品から摂取される食品まで、フードチェーンの様々なレベルで食事暴露を評価するためのEFSAの能力強化
4. カリステギンの利用可能な毒性データの要約
5. 遺伝子組換え関連
6. 食品酵素関連
7. 食品接触物質関連
8. 香料グループ評価
9. 飼料添加物関連
10. 農薬関連

【DEFRA】
1. 環境大臣はアレルギー患者のためにより厳密な表示法を提案

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. エルカ酸:BfRは最大基準値案を支持、しかし脂肪を加えた食品も制限されるべきである
2. 栄養補給?錠剤でなく食事で!
3. ナノテクノロジーに関する第三回合同シンポジウム
4. 耐性菌-世界の問題
5. 化学物質はあなたを太らせる?

【ANSES】
1. コハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)殺菌剤:ANSESは専門家による評価結果を公表
2. リヨンのフランス行政裁判所による判決:ANSESは評価の誤りについて異議を唱える

【FSAI】
1. 国の食生活改善を導くための健康的食事ガイドライン更新

【FDA】
1. リコール
2. 警告文書

【FSANZ】
1. イチゴの異物混入事件
2. オーストラリア食品組成データベース
3. 食品基準通知

【香港政府ニュース】
1. 米国農務省食品安全検査局より‐米国のTyson Foods, Inc.の異物混入(ゴム)汚染の可能性のあるチキンナゲット製品に関する通知を発表した
2. 違反情報

【FSSAI】
1. 栄養補助製品の包装表示の欠陥をチェックするよう指示する文書
2. ティーバッグのホチキスの針使用禁止に関する命令