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「クーパー家の晩餐会」のクリスマスディナー

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今回は、1年に1度のクリスマスイブの晩餐会に集まった4世代の家族の1日を描いた「クーパー家の晩餐会」(現在公開中)を、晩餐会のメニューを交えながらご紹介する。

家族それぞれの秘密

 本作は、知的障がいを持つ父親と娘の親子愛を描いた「I am Sam アイ・アム・サム」(2001)等の作品で知られる女性監督ジェシー・ネルソンによるグランドホテル方式(本連載第99回参照)の群像劇である。家族のそれぞれが他の家族には話せない秘密を抱えていて、それが本作の“メインディシュ”とも言える晩餐会のシーンにつながる構成のため、まずは登場人物を取り巻く事情について簡単に説明しておく。

「クーパー家の晩餐会」人物相関図

「クーパー家の晩餐会」人物相関図

 晩餐会のホスト/ホステス役であるサム(ジョン・グッドマン)とシャーロット(ダイアン・キートン)の夫婦は、40年連れ添った末に離婚を決意。シャーロットは離婚のことは最後の晩餐会に最高の思い出を作るのだと意気込んでいる。

 シャーロットの父であるバッキー(アラン・アーキン)は、行きつけのダイナーのウエイトレスのルビー(アマンダ・セイブライド)に「街の灯」(1931、チャールズ・チャップリン監督)や「ボーン・イエスタデイ」(1950、ジョージ・キューカー監督)といった彼の生涯でベスト67のDVDを貸したりするなど、歳の差を越えた友情を築いていたが、イブの日にルビーが店を辞めると聞かされ、最後に彼女を晩餐会に誘う。

 バッキーの娘でシャーロットの妹のエマ(マリサ・トメイ)は幼少時からずっと姉にコンプレックスを抱いており、姉へのクリスマスプレゼントに1ドルも使うものかと思わず宝飾店で万引きを働いてしまい、ウイリアムズ巡査(アンソニー・マッキー)に連行される。

 サムとシャーロットの娘のエレノア(オリヴィア・ワイルド)は妻帯者のモリッシー医師と不倫関係にあり、今年も両親を失望させるかと思うと家に足が向かなかったが、空港のバーで知り合った軍人のジョー(ジェイク・レイシー)を偽の恋人に仕立てることを思いつく。

 サムとシャーロットの息子ハンク(エド・ヘルムズ)は、デパートのカメラマンの仕事をリストラされたことを、離婚した元妻のアンジー(アレックス・ポースタイン)やチャーリー、ポー、マディソンの3人の子供たちに言い出せないでいる。

 これに老人ホームで暮らす認知症のサム方のフィッシャー叔母さん(ジューン・スキップ)を加えた面々が「クーパー家の晩餐会」の出席者である。

クーパー家秘伝のレシピ

「最後の晩餐会」に向け料理の支度に余念のないシャーロット。

「最後の晩餐会」に向け料理の支度に余念のないシャーロット。

 そして迎えた約束のクリスマスイブの午後5時。何事もなかったかのように集まった家族が囲んだ長テーブルに、シャーロットが“最後の晩餐”に向け腕によりをかけて作ったクーパー家秘伝のクリスマスディナー。その品々が所狭しと並ぶ様を俯瞰で捉えたカットは圧巻である。この料理は「シェフ 三ツ星フードトラックはじめました」(本連載第96回参照)のフードコーディネーターを務めたメリッサ・マックソーリーによるもので、見た目だけでなく味もキャストたちに好評だったそうである。

 今回はその数ある料理の中からシャーロット特製のスイーツ「ダンプ・サラダ」のレシピをご紹介しよう。

ダンプ・サラダ

【材料】

  • カッテージチーズ:230グラム
  • ライム味の小型のJELL-O(アメリカのゼリーミックス):1個
  • つぶしたパイナップル:缶1個(170~230g)
  • クールホイップ(冷凍されたホイップクリーム):1つ(230g)
  • ナッツ(お好みで)

【作り方】

  1. カッテージチーズとライム味のJELL-Oを混ぜる。
  2. シロップを抜いたパイナップルを加える。
  3. ホイップクリームを混ぜて、冷蔵庫で1~2時間冷やしたら完成。
  4. 「クーパー家の晩餐会」公式サイトより)

 この晩餐会、隠しても隠し切れない真実がもとで家族間に漂う不協和音を象徴するかのようにあるアクシデントによって突然中断される。それからの展開については実際に映画をご覧いただくとして、晩餐会の中断によって無人となったクーパー家でご馳走にありついたのは、この映画の狂言回しでもあるサムとシャーロットの愛犬ラグスであったことを申し添えておく。

ダイアン・キートンについて

 本作で母親役を演じたダイアン・キートンは、1970年代にウディ・アレンのパートナーとして彼の監督作品に数多く出演し、1977年の「アニー・ホール」ではアカデミー賞の主演女優賞を受賞している。その後も順調にキャリアを重ね、本作以外にもモーガン・フリーマン扮する画家の妻を演じた「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」(2014)が現在公開中である。こちらはブルックリンのアパートに住む子供のない老夫婦という設定で、本作と見比べてみるのも一興かと思われる。


【クーパー家の晩餐会】

公式サイト
http://gaga.ne.jp/coopers/
作品基本データ
原題:LOVE THE COOPERS
製作国:アメリカ
製作年:2015年
公開年月日:2016年2月19日
上映時間:107分
製作会社:CBS Films Groundswell Productions Imagine Entertainment
配給:ギャガ
カラー/サイズ:カラー/シネスコ
スタッフ
監督:ジェシー・ネルソン
脚本:スティーヴン・ロジャース
製作総指揮:キム・ロス、アンナ・カルプ、テッド・ギドロウ、スティーヴン・ロジャース、ダイアン・キートン
撮影:エリオット・デイヴィス
美術:ベス・A・ルビーノ
音楽:ニック・ウラタ
編集:ナンシー・リチャードソン
衣装デザイン:ホープ・ハナフィン
選曲:T=ボーン・バーネット
フードスタイリスト:メリッサ・マクソーリー
キャスト
シャーロット:ダイアン・キートン
サム:ジョン・グッドマン
ルビー:アマンダ・セイフライド
エレノア:オリヴィア・ワイルド
バッキー:アラン・アーキン
ハンク:エド・ヘルムズ
エマ:マリサ・トメイ
フィッシャー叔母さん:ジューン・スキッブ
ウィリアムズ巡査:アンソニー・マッキー
ジョー:ジェイク・レイシー
アンジー:アレックス・ボースタイン

(参考文献:KINENOTE)

執筆者

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映画ウォッチャー 埼玉県出身。子供のころからSF映画が好きで、高校時代にキューブリックの「2001年宇宙の旅」を観たところ、モノリスに遭遇したサルの如く芸術映画に目覚め、国・ジャンルを問わない“雑食系映画ファン”となる。20~30代の一般に“青春”と呼ばれる貴重な時をTV・映画撮影現場の小道具係として捧げるが、「映画は見ているうちが天国、作るのは地獄」という現実を嫌というほど思い知らされ、食関連分野の月刊誌の編集者に転向。現在は各種出版物やITメディアを制作する会社で働きながら年間鑑賞本数1,000本以上という“映画中毒生活”を続ける“ダメ中年”である。第5回・第7回・第8回の計3回、キネマ旬報社主催の映画検定1級試験に合格。第5回・第6回の田辺・弁慶映画祭の映画検定審査員も務めた。