外食市場規模が80年代水準に

日本フードサービス協会「令和2年外食産業市場規模推計」(西暦は2020年度)は、外食産業(料理品小売業を含まない)の市場規模を18兆2005億円と推計した。前年比では30.7%の減少。1984年の18兆4783億円を下回る数字で、36年間の成長が吹き飛んだ格好となった。

行動自粛・行政の要請・入国制限のトリプルパンチ

報告の概況部分には「新型コロナウイルス感染症の発生により、消費者の行動自粛に加え、政府の緊急事態宣言発令、自治体の営業時間短縮要請などにより深刻な影響を受けた。さらに海外からの入国制限によりインバウンド需要が大幅に減少し」と記している。

外食産業市場規模推計値の推移
外食産業市場規模推計値の推移(1975〜1978年の飲食店及び喫茶店の市場規模には百貨店等直営店の飲食店・喫茶店の売上が含まれていない。1979年以降は百貨店等直営の飲食店及び喫茶店の売上げが含まれている。)。

機内食と料飲が受けた打撃大

給食主体部門は26.9%減だったのに対し、料飲主体部門は46.8%減とより大きな影響を受けた。

給食主体部門のなかでは、集団給食は15.7%減だったのに対し、営業給食は29.0%減とより大きな影響を受けた。

営業給食のなかでも、とくに「機内食等」は69.8%減で全業種中最大の打撃を受けた。また、宿泊施設も46.0%減で、料飲主体部門と同等の打撃。一方、ファストフードが含まれる「その他の飲食店」は1.4%減と影響は比較的軽微だった。

外食産業市場規模推計値(2020)

外食産業総合調査研究センター「令和2年外食産業市場規模推計」による。
分類実数(億円)対前年増加率(%)
外食産業計(広義の外食産業)252,933▲24.5
外食産業計(狭義の外食産業)182,005▲30.7
給食主体部門155,338▲26.9
営業給食127,065▲29.0
集団給食28,273▲15.7
料飲主体部門26,667▲46.8
喫茶店・居酒屋等14,544▲33.7
料亭・バー等12,123▲57.1
料理品小売業(弁当給食を除く)70,928▲1.8

 業種ごとの対前年増減率は以下のとおり。

●食堂・レストラン:▲28.5%
※ファミリーレストランや一般食堂、専門料理店等を含む。

●そば・うどん店:▲26.9%
※立ち食いそば・うどん店を含む。

●すし店:▲18.3%
※回転寿司を含む。

●その他の飲食店:▲1.4%
※ファストフードのハンバーガー店、お好み焼き店を含む。

●機内食等:▲69.8%

●宿泊施設:▲46.0%
※ホテル、旅館での食事・宴会など。

●学校給食:▲16.9%
※主として小学校、中学校等の給食で、大学の学生食堂は含まない。

●事業所給食のうち社員食堂等給食:▲18.5%

●事業所給食のうち弁当給食:▲22.3%

●病院給食:▲5.2%

●保育所給食:▲18.1%

●喫茶店:▲31.6%

●居酒屋・ビヤホール等:▲36.0%

●料亭:▲57.0%

●バー・キャバレー・ナイトクラブ:▲57.1%

料理品小売業は微減

 いわゆる中食も外食産業に含めるが、本推計では中食のうち日本標準産業分類の料理品小売業(持ち帰り弁当店や惣菜店であり、他の小売業の弁当・惣菜部門は含まれない)の推計値を算出している。その推計値は70,928億円で、前年より1.8%減(狭義の外食産業でカウントしている弁当給食の重複分を除いた値)。

令和2年外食産業市場規模推計について
http://www.jfnet.or.jp/files/2021-1-1.pdf
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About 齋藤訓之 398 Articles
Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所特任研究員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。日本フードサービス学会、日本マーケティング学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →