バーテンダー諸兄に贈るFOODEX JAPAN 2012洋酒レポート10(2)

TABERNRO mosto verde
TABERNRO mosto verde

去る3月6日~9日、幕張メッセにおいてFOODEX JAPAN 2012が開催された。参加国数72か国、約2400社の飲料・食品メーカーが一堂に集まる世界でも有数の見本市であり、今回も73000人を超す来場者で賑わった。その中でバーテンダー目線に立って見付けてきた洋酒10品を紹介していく。2回目はペルー産ブランデーとポーランド産ウォッカだ。

【3】TABERNRO mosto verde

TABERNRO mosto verde
TABERNRO mosto verde

通常の倍以上のブドウを使ったピスコ
G&C CORPORATION Tel.0594-25-8353

 現在ペルーはピスコ(ペルー産グレープブランデー)の海外輸出に力を入れており、原産地呼称の厳格化による品質の向上に力を入れている。他国(チリ)産のピスコと異なり、補糖もしていない他、(1)無色透明であること、(2)ブドウ産地を明確にすること等のルールを独自に設定している。ブースの係員の話では「イタリア」というブドウ品種がプレミア物には多く使われている由。

 また、ペルーでは2月には「ピスコの日」、7月には「ピスコ・サワーの日」を制定して普及に努めている。

 その中でも通常の倍量(500ml瓶1本のピスコに7kg)のブドウを贅沢に使って作られた「mosto verde」は干しブドウのような残り香が印象的だ。筆者が「スムーズな飲み口ですね」と言うと、彼女は我が意を得たりとばかりに「喉で暴れるピスコはピスコではない」とうなずいた。

 現地では圧倒的にピスコ・サワーとして飲まれる。基本レシピはピスコ45に対してレモン30、卵白1個分、ガムシロップ5をシェーカーで撹拌して最後にシナモンパウダーのようだ。ネットで調べたところ、現地ではブレンダーを使っていること、メキシコではライムが多いこと、シナモンパウダーは現地でも使うところと使わないところがあるらしいこと、がわかった。

「mosto verde」のような上級品の場合は、冷蔵庫で少し冷やしてストレートで飲むのがあちらのセレブ流だとか。(ペルー)

【4】PRAVDA

PRAVDA
PRAVDA

ポーランド南部産のライ麦とカルパティア山脈の雪解け水で作った麦汁を醗酵させた後、銅製の蒸留塔を含む6基の蒸溜塔を通して作られたプレミアム・ウォッカ
取扱:ユニオンリカーズ Tel.03-5510-2684

 ロシアと並んでウォッカ発祥の地とされるポーランドのプレミアム・ウォッカ。

 ウォッカで重要なのは原料と水、濾過の丁寧さだが、そのすべてを明示したウォッカは決して多くない。その点、このウォッカはライ麦の産地が「ポーランド南部のヴィエルコポルスカ地方」と明示されており、ポイントが高い。

 筆者は正直な話、「ベルヴェデール」や「グレイグース」のような「スリガラス系プレミア・ウォッカ」があまり好きではない。いずれも甘さが主張するうえに酒質が重たく、カクテルならともかくストレートをフリーズさせて飲むときの爽快感が感じられないし、そもそもカクテルにするならプレミアを使う意味が半減する……等とぼやいて、10年以上前に幻となったポーランドのプレミアム「ルクスソーヴァ」を懐かしんでいても詮無いのだが。

 ユニオンリカーズはFOODEXでは試飲ブースを設けていなかったので、後日、ウォッカの品揃えでギネス登録の話さえあった銀座のウォッカ・バーに行って試してきた。「プラヴダ、ありますか?」「おや、珍しいのを頼みますね」――そう言って出された1杯は心配していた甘さや重さとは無縁で女性的な柔らかさとスムーズさ、そして力強さも内に秘めた逸品だった。(ポーランド)

石倉一雄
About 石倉一雄 129 Articles
Absinthe 研究/洋酒ライター いしくら・かずお 1961年北海道生まれ。周囲の誰も興味を持たないものを丹念に調べる楽しさに魅入られ、学生時代はロシアの文物にのめり込む。その後、幻に包まれた戦前の洋酒文化の調査に没頭し、大正、明治、さらに江戸時代と史料をあたり、行動は図書館にバーにと神出鬼没。これまでにダイナースクラブ会員誌「Signature」、「男の隠れ家」(朝日新聞出版)に誰も知らない洋酒の話を連載。研究は幻の酒アブサン(Absinthe)にも及び、「日経MJ」に寄稿したほか、J-WAVE、FM静岡にも出演。こよなく愛する酒は「Moskovskaya」。