スクリーンの餐

フードとアートをつなぐもの

2021年製作の田邊アツシ監督作品「マゴーネ 土田康彦『運命の交差点』についての研究」は、イタリア・ヴェネツィア沖のムラーノ島にアトリエを構える日本人唯一のヴェネツィアン・グラス作家、土田康彦の創作活動と来訪者との出会いを8年間にわたって記録しながら、監督自身がナレーターを務め、土田康彦論を語る異色のドキュメンタリーである。
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培養肉の進歩と課題がわかる

日本でも6月9日から公開となった、リズ・マーシャル監督作品「ミート・ザ・フューチャー 培養肉で変わる未来の食卓」の英語原題「MEAT THE FUTURE」のミートは、meet(出会う)ではなく肉のmeatである。
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若者を移民からシェフへ育てる

現在公開中の「ウィ、シェフ!」は、フランスの南西部で移民の若者たちを調理師に養成する支援活動をしている元シェフ、カトリーヌ・グロージャン(Catherine Grosjean)の実話を元に、料理ドラマを通して移民の問題に向き合った作品である。
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飛ぶ鳥落とすsioの実像描く

東京・代々木上原のレストラン「sio」のオーナーシェフ・鳥羽周作。同店が「ミシュランガイド東京」で4年連続一つ星を獲得するなど、現在最も注目を集めている料理人の一人。4月に公開された映画「sio 10年続く、店のはじまり」は、「ヤバい」が口癖の“料理界の異端児”鳥羽と、彼を支えるスタッフと家族の実像に迫ったドキュメンタリー映画である。
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“食べる”で描いた“生きる”

現在公開中の「生きる LIVING」(以下「LIVING」)は、1952年製作の黒澤明監督作品「生きる」のリメイクである。舞台を1953年のロンドンに移した脚本をノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロが書き下ろし、イギリスの名優ビル・ナイが主演を務めた。第95回アカデミー賞の脚色賞と主演男優賞にノミネートされたが、惜しくも受賞を逃した。
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エブエブに出てくる食べ物たち

去る3月12日、第95回アカデミー賞授賞式が行われた。結果は、前評判の高かった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が、作品賞、監督賞、主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞の計7部門で受賞するという圧勝であった。今回はこの作品(略称「エブエブ」)に登場する食べ物について述べていく。 ※注意!! 以下はネタバレを含んでいます。 新作スイーツのお味はいかが 「エブエブ」は […]
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“3”にまつわる映画と食べ物

「スクリーンの餐」は、おかげさまで連載300回を迎えることができました。2011年の連載開始以来約12年。ここまで続けてこれたのも、ご覧いただいた皆様のおかげです。ありがとうございます。
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消え去る映画技術と送る人々

皆さんは、百年後の映画がどうなっているか想像できるだろうか。リュミエール兄弟によるシネマトグラフの発明後、映画技術の進歩はとどまることなく、そのときどきの映画製作や鑑賞方法に変化をもたらしてきた。
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温めれば何度でもやり直せる

今年もやって来るバレンタインデー。チョコレート業界にとっては一年で一番の書き入れ時だ。この時期には、全国各地で関連イベントが多数行われる。その中で、「日本一のチョコレートの祭典」と言われているのが、ジェイアール名古屋タカシマヤの「アムール・デュ・ショコラ」。
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年の瀬はワイン映画で三本締め

2022年最後となる今回は、本連載第292回で触れた「戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン」「チーム・ジンバブエのソムリエたち」に、日本の「Vin Japonais The Story of NIHON WINE」を加えたワイン映画三本立てでお送りする。 ※注意!! 以下はネタバレを含んでいます。 日本ワイン造りを凝縮 「Vin Japonais The Story of NIHON WINE」は、 […]
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食事と描き出した二十四節気

今回取り上げる「土を喰らう十二カ月」は、「五番町夕霧楼」(1963)、「飢餓海峡」(1963)等で知られる小説家、水上勉のエッセー「土を喰う日々 ―わが精進十二カ月―」(1978)を、中江裕司が現代の信州に置き換えて脚本化し、監督した新作映画である。  本作の主役とも言える四季折々の料理は、「きょうの料理」(NHK Eテレ)、「おかずのクッキング」(テレビ朝日系、2022年3月で終了)等のTV番組 […]