天然物も濃縮すれば新規食品

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.13(2017.06.21)を発表した。

注目記事

【BfR】悪い雑草は高く育つ

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、農薬グリホサートをめぐる論争を受けて、BfRの「農薬の安全性」部門の議長を務めている生物学者Roland Solecki氏へのインタビューを公表した。

【BfR】グリホサートのリスク評価に関して新しい発見はない

非政府組織HEALの代表Christopher Portier氏は、統計上の結論をもとに、ラットとマウスで実施した餌投与試験の腫瘍結果が欧州のリスク評価で考慮されていないといわれていることを報告するため、日曜に欧州委員会委員長の議長Jean-Claude Juncker氏に公開質問状を出した。この件について、BfRが意見を発表した。Portier氏の予測と結論は欧州化学庁(ECHA)の専門家によって議論され、「証拠の重みづけ」(WoE)アプローチによりグリホサートの発がん性あるいは遺伝毒性の影響の兆候はないという結論に至ったとしている。

※ポイント:グリホサート論争がまだまだ続いています。ドイツは、EFSAによる再評価のもととなる評価書案の報告国であったため、当初から、グリホサートについて何か新しい議論が生じる度に科学的な見解を発表しています。この論争について、これまでの経緯を下記ウェブサイトにまとめてありますので参考にしてください。

※グリホサートについて(2015年IARC評価関連)
その1:2015年4月~2016年5月の発表記事
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/glyphosate/glyphosate.pdf
その2:2016年6月~2017年2月の発表記事
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/glyphosate/glyphosate_2.pdf

【FSANZ】食品基準通知:意見募集「栄養食品と新規食品規制の新しい枠組み」

オーストラリア・ニュージーランド食品基準では、栄養食品や新規食品は許可がない限りオーストラリアとニュージーランドで販売することを禁止している。しかし現在の基準では栄養食品と新規食品について、とくに定義について不確実性があり、それによって業界と執行機関には特別な市販前認可が必要であるのかを判断するのに困難が生じている。オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、どのような食品に市販前認可が必要なのかをより明確にすることを目的として、その枠組みの提案をした上で、関係者からの意見を募集する。

※ポイント:市販前にFSANZの評価及び認可が必要なのかは、食品に適したものであるのかを判断基準として提案しています。その基準をみると、一つの例として食用植物の抽出物は天然に含まれるレベルと同程度でなければ新規食品だとしています。日本にはこのような「新規食品」という枠組みがないため抽出物や濃縮物も食品として扱われて認可の必要なく自由に販売できますが、欧米諸国では従来と異なる食べ方や技術を用いたものは新規食品として市販前に評価対象にすることで安全性を確認しています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.13(2017.06.21)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201713c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 査察報告書(Health and Food Audits and Analysis)
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品添加物としてのトラガント(E 413)の再評価
2. 食品添加物のポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフト共重合体(E1209)に提案された規格改訂の安全性
3. 意見募集:疫学研究と農薬
4. 食品と接触する物質関連
5. 遺伝子組換え関連
6. 動物飼料関連
7. 健康強調表示関連
8. EFSAへの分析結果の統一データ収集を電送する枠組みでのSSD2導入についてのパイロット計画に関する外部監査報告
9. 1/3/2016 ~28/2/2017の間にEFSAの契約OC/EFSA/GMO/2014/01, Lot 2の下で行われた毒性試験と摂餌動物試験に関する準備作業の年次報告書

【FSA】
1. FSAの6月の理事会のペーパー発表
2. FSA北アイルランド

【NHS】
1. Behind the headlines

【BfR】
1. ハウチワマメ(ルーピン)種子:苦味で健康を損なう可能性がある
2. 悪い雑草は高く育つ
3. グリホサートのリスク評価に関して新しい発見はない

【FDA】
1. リコール
2. 警告文書

【NTP】
1. 次回テクニカルレポートピアレビュー委員会

【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 食品基準ニュース

【TGA】
1. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. 食品法強化に意見募集
2. 未成年者へのアルコール販売禁止
3. 家禽の取引はこれまで通り継続
4. クレソン蜂蜜のリコールを命じた
5. 乳児用調製粉乳のマーケティング規約が発表された

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. タイ産卵の輸入許可、国内の卵の価格安定を期待
3. 食品医薬品安全処・環境部の亜酸化窒素の誤・濫用対策の準備
4. 子供嗜好食品などのアレルギー誘発食品表示制度の本格実施
5. 残留農薬が基準を超過して検出された農産物「シレギ(乾菜)」製品の回収措置

【HSA】
1. 警告:オンライン上で販売されている「Nutriline Bluvelle」は禁止物質を含み摂取者に有害影響を引き起こすことがわかった

【FSSAI】
1. 健康サプリメントにパフォーマンス強化薬物を使用することについての命令

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)ほどほどの飲酒でも脳の健康低下に関連する、研究が発見