やめて!プッシュポップで製菓

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所は、玩具のプッシュポップを調理に使うと有害な物質が食品に移行する可能性があると指摘している。EFSAは飼料添加物エトキシキンの安全性の再評価を行った。また、EFSAはエチレンオキシドの代謝物である2-クロロエタノールの遺伝毒性について検討したが結論は出なかった。

注目記事

【BfR】BfRは「pop-it fidget toys」(プッシュポップ)で調理しないよう助言する

 子供達の間で、柔らかい気泡が入っていて押すことのできるカラフルなシリコーン型の「pop-it fidget toys」(プッシュポップ)という玩具が大人気である。この製品を使った小さなケーキやチョコレートプラリネなどのお菓子の作り方を紹介する説明書や動画がインターネット上に広く掲載されている。しかし、この玩具は食品と接触することを意図して製造されたものではなく、調理に使うとヒトの健康に有害な物質が食品に移行する可能性がある。そのため、BfR(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所)は、プッシュポップ玩具を調理には使用しないよう助言する。

※ポイント:日本ではプッシュポップ、プッシュポップバブル、ポップイットなどの名称で販売されているスクイーズ玩具です。日本でも人気のようで、多くのカラフルで可愛い製品が販売されています。ネット検索すると、ドイツと同じくお菓子作りの動画も出てくるので注意が必要です。

【EFSA】EFSAは飼料添加物エトキシキンの安全性を再評価する

 欧州食品安全機関(EFSA)が飼料添加物エトキシキンの再評価を実施した。エトキシキンを提案されている濃度50mg/kg完全飼料で使用した場合に、すべての動物種に安全だと考えられる。しかし変異原性の可能性のあるp-フェネチジンが不純物として存在するため、寿命が長い動物や繁殖用の動物の飼料中の添加物についての安全量は特定できなかった。また、乳生産の反芻動物を除く、すべての動物種に対してエトキシキンを50mg/kg完全飼料の最大総濃度で添加した場合の残留による消費者へのリスクは生じない。ただし、これはエトキシキンとその変換生成物のみの推定に基づく。添加物にはp-フェネチジンが存在しており、そのデータ不足のため評価できず、消費者への安全性に関する結論は出せなかった。

※ポイント:EFSAの2015年の評価では、さまざまなデータの不足により、エトキシキンを飼料添加物として使用した場合の動物やその消費者、環境への安全性について結論は出せないと報告していました。そのため飼料添加物としての使用認可が2017年6月に取り下げられました。今回の評価は、その後に追加データとともに4件の認可申請が提出されたために実施しています。今回の評価で不純物p-フェネチジンについてはデータ不足が再度指摘されましたが、エトキシキンとその酸化で生じる変換生成物による安全性についてはある程度の結論が出されたので、この評価結果を受けた欧州委員会の判断次第では、飼料添加物としての使用が限定的に変更される可能性もあるかもしれません。

【EFSA】2-クロロエタノールの毒性に関するBfRの意見についての声明

 EFSAがエチレンオキシドの代謝物である2-クロロエタノールの遺伝毒性について検討したが、BfRによる評価(2021年)以降の追加データを考慮しても結論は出なかった。そのため、2-クロロエタノールの遺伝毒性の可能性が明確になるまで、EFSAはリスク評価の参照点や健康影響に基づく指標値の設定は助言せず、in vitro遺伝子変異やin vitro 小核試験の実施を勧める。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2022.03.16)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202206c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 世界のリーダーと専門家は抗菌剤汚染から環境を守るための行動を呼びかける
2. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. 食品安全の将来を考える-展望報告書
2. Codex

【EC】
1. 農場から食卓まで:革新的飼料添加物が EU の乳牛のメタン排出を減らすだろう
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 添加および遊離糖類は可能な限り少なくするべき
2. 食品中の残留動物用医薬品:遵守率は10年間で最高
3. ApisRAM 正式モデルの説明
4. モンテネグロの青年、成人、高齢者および妊婦の全国食事調査
5. EFSA は飼料添加物エトキシキンの安全性を再評価する
6.2-クロロエタノールの毒性に関する BfR の意見についての声明
7. YouTube 動画
8. 農薬関連
9. 新規食品関連
10. 遺伝子組換え関連
11. 食品酵素関連
12. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 医療及び福祉施設の職員と訪問者のための最新の栄養基準を開始する

【DEFRA】
1. テンサイを守るために緊急農薬認可

【COT】
1. COT の会合:2022年2月10日

【UKHSA】
1. 環境公衆衛生サーベイランスシステム(EPHSS)報告2020-2021

【BfR】
1. 錠剤と粉末:約1/3の人が毎週フードサプリメントからビタミンを摂っている
2. BfR は「pop-it fidget toys(プッシュポップ)」で調理しないよう助言する

【FSAI】
1. FSAI の相談窓口(Advice Line)は2021年3,414件の食品苦情を受け付けた
2. 食品表示-消費者に提供される情報に関する規則の改正に関する EU のターゲット調査
3. リコール情報
【Ruokavirasto】
1. 化学物質リスク評価のための新しい欧州ネットワーク

【FDA】
1. 食品からの PFAS 暴露を理解し減らすために FDA が続けている努力について更新
2. 新しい栄養成分表示について 何が入っているの?
3. 業界と FDA 職員向けガイダンス:食品安全監査のための第三者認証機関認定のためのモデル認定基準
4. 業界向けガイダンス:FDA の任意適格輸入業者計画
5. FDA は自主的リコールの最終ガイダンスの一環として、公衆衛生を守るための「リコールの準備」を企業に呼び掛ける
6. 公示:ワンダフルハニー(Wonderful Honey)は表示されない医薬品成分を含む
7. FDA TechTalk ポッドキャスト第3話は人工知能について
8. 警告文書

【EPA】
1. EPA は EPA の決定を支持する科学を強化するために新しい科学助言委員会(SAB)プロセスを発表
2. 新しい有害化学物質排出目録データはある種の有害化合物の排出が減っていることを示す

【USDA】
1. 全米有機(オーガニック)計画;認証および禁止されている物質の全米リストを改訂

【FTC】
1. FTC、司法省、FDA はハーブティーの販売者の偽りの COVID-19治療宣伝を止めさせるために対応する

【Health Canada】
1. 保健大臣からのメッセージ-栄養月間(2022年3月)
2. 修正通知

【CFIA】
1. 食物アレルゲン(ターゲット調査)

【ECCC】
1. 化粧品や洗浄剤などの消費者製品に含まれる化学物質の表示義務化とサプライチェーンの透明性向上に関する協議を開始

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【APVMA】
1. 新しい規制手段-農業と獣医用化合物規約(農業用有効成分)規格2022

【香港政府ニュース】
1. 法令違反

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、水産物の正しい種判別情報提供
3. 食薬処、菓子製造業者対象アクリルアミド低減化テクニカルサポート
4. 健康機能食品タンパク質製品、食品すべての原料で製造許容
5. 春季、貝類摂取時は貝毒による食中毒に注意してください
6. 食品中の「新種の貝毒」の汚染レベルは安全!
7. 残留農薬基準で超過検出された輸入「キクラゲ」回収措置
8. 男性精力増進広告製品、オンラインで購入してはいけません!
9. 健康機能食品に対する消費者情報提供の強化推進
10. 食薬処長、先端技術を組み合わせた食品産業発展方案を議論
11. 国内流通畜産物の動物用医薬品残留レベルは安全
12. 食用不可「バタフライピー(チョウマメ)の花」を使用した飲料を摂取しないでください!

【SFA】
1. シンガポールは熱帯魚養殖技術のハブになる準備が整っている

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail2件