リスク評価に社会科学も導入

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.02(2019.01.23)を発表した。また、「『フェイクニュース』の時代に、科学はどうやって自己主張できるか?」(ドイツ連邦リスク評価研究所、第7回関係者会議における発表と議論)を食品安全情報(化学物質)No.02(2019.01.23)別添として発表した。

注目記事

【EFSA】2017年の新興リスクに関するEFSAの活動

欧州食品安全機関(EFSA)は、2017年に議論された新興リスクに関する報告書を発表した。

化学ハザードとしては、フードサプリメントや茶へのブラックコホシュの使用に関連するリスク、南米におけるジカウイルスのベクター管理に使用される農薬の残留により起こりうる食品汚染、シアノバクテリアが産生するβ-メチルアミノ-L-アラニン(BMAA)、有機シリコン界面活性剤アジュバント(OSS)が新興リスクになり得るとして議論された。

その他、消費者行動の傾向に基づき、強化食品に含まれる栄養素の高用量に関連する潜在的リスクが新興リスクであると指摘された。

※ポイント:EFSAは新興リスクに関する報告書を毎年公表しています。EU域での議論ではありますが、普段から海外の食品安全の情報に接していてもこんな問題があったのかと認識させられるものがあります。新興リスクをまとめた報告書の表には今後の対応に関する助言も記されていますので参考にしてください。

【CFIA】食品安全に関する新しい規制が本日発効

カナダ人のための安全な食品規制(Safe Food for Canadians Regulations:SFCR)が本日発効した。この規則は国際基準と整合しており、予防と安全でない食品の迅速な排除に焦点を当てることでカナダの食品安全システムをより強化なものにする。いくつかの要件は直ちに適用されるが、その他は品目や事業者の規模などに応じて12~30カ月のうちに段階的に適用となる。

※ポイント:また一つ、予防管理に焦点をあてた法律が発効しました。法案が出されたのが2012年なので発効まで6年かかっています。カナダ政府が新しい法律で強調している点は、輸出入や州・領土間で移送される食品を扱う事業者にはライセンス取得と予防的管理の実行が必要になることです。

【EFSA】EFSAで社会科学への突破口となるコミュニケーション方法論

EFSAは、2018年に発表した「科学的評価書における不確実性分析についてのガイダンス」に記された不確実性のさまざまな表現について、どのようにコミュニケートするとよいのかを記した実践的ガイダンスを発表した。この文書は、「入門者用」「知識のある人用」「専門家用」という対象とする聞き手のレベルに合わせて3段階で構成されたコミュニケーターおよび評価者向けのガイダンスである。

※ポイント:不確実性のコミュニケーションのやり方に関する実践的助言をまとめたガイダンスです。EFSAは、新しい取り組みとしてガイダンス作成に社会科学の専門家も参加したことが画期的で重要なことだと述べています。消費者の行動や認知に関する知見も評価や管理機関の活動を検討するための要素として含めるため、食品安全のリスクアナリシスに社会科学の考え方や専門家を入れることが海外では進められています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.02(2019.01.23)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201902c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.02(2019.01.23)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201902ca.pdf

今号の目次

【EC】
1. 査察報告書(ハンガリー)
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAで社会科学への突破口となるコミュニケーション方法論
2. EFSAのオープンアクセスプラットフォームのデータを共有
3. EU-FORAフェローシッププログラム:第3期申請は1月31日まで
4. 2017年の新興リスクに関するEFSAの活動
5. ベンチマーク用量モデリングのためのソフトウェア
6. 食品酵素関連
7. 飼料添加物関連
8. 遺伝子組換え関連
9. 香料グループ評価

【FSA】
1. Evolution Foods は表示されない亜硫酸塩のため3製品を回収措置

【FSS】
1. 食品安全キャンペーンはスコットランド市民に対して、「キッチン犯罪」有罪ではないかどうか確認するよう求める

【DEFRA】
1. 食品廃棄を減らす:根本的変化をもたらす資金提供開始

【NHS】
1. Behind the Headlines

【BfR】
1. グリホサートの欧州評価は質が保証され独立的である-企業報告は常に評価報告書の一部である
2. 燻蒸コンテナを介した健康被害:専門家は研究結果と監督官庁による測定値について議論する

【FSAI】
1. PME Tiger Lilly オレンジシュガーペーストが高濃度のキノリンイエローE104及びポンソー4R E124のため回収

【FDA】
1. リコール情報

【NIH】
1. 医療関係者向けファクトシート更新

【CFIA】
1. 食品安全に関する新しい規制が本日発効
2. 意向通知:カナダのウォッカ基準改定

【TGA】
1. 安全性警告

【NSW】
1. リコール:生アプリコットカーネル

【香港政府ニュース】
1. イチョウ(銀杏)― 毒性のある種子をもつ生きた化石
2. 海外政府機関の発表
3. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「高まった食品安全」のレベル 牛乳も完成品検査が必要
3. ノニ製品、輸入者が自らの安全性を証明してから輸入可能
4. 食品の回収証、テキストメッセージで確認することができます
5. 輸入ガランガル製品は黒ショウガと確認され回収措置
6. 食品及び畜産物の表示基準を一つに統合
7. 遺伝子組換え食品(GMO)表示制関連の社会的協議体の発足
8. 未認可の食品添加物を使用した輸入その他の加工品の回収措置
9. 食品医薬品安全処、食品由来の抗生物質耐性を減らす国際規範策定に率先

【その他】
・(EurekAlert)環境中の抗生物質耐性は糞便汚染に関連
・(EurekAlert)The Lancet:食物繊維と全粒穀物の摂取量の多さが非伝染性疾患リスクの減少と関連
・(EurekAlert)遺伝子組換え食品反対者は自分たちが思っているよりよく知らない、研究が発見
・(EurekAlert)少なくとも半分の保護者が子どもに根拠に基づかない風邪予防法を試みている

別添

【BfR】
・「フェイクニュース」の時代に、科学はどうやって自己主張できるか?
ドイツ連邦リスク評価研究所、第7回関係者会議における発表と議論