FDAの濃縮カフェイン対策

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.09(2018.04.25)を発表した。

注目記事

【FDA】食品中の有毒金属から消費者を保護するためのFDAの活動

米国食品医薬品局(FDA)は、6カ月前に発足した「有毒元素ワーキンググループ」を紹介し、食品中の汚染物質として存在する金属のリスク管理の方針について発表した。FDAは、各金属の毒性・検出率・暴露量に基づき優先順位をつけ、影響を受けやすい集団を特定し、利害関係者からの意見を踏まえて暴露低減のために有効で実行可能な管理を行うとしている。同時に、消費者へも情報伝達や自ら対策できるように教育を行う。

※ポイント:食品安全の行政的施策は、科学的な根拠をもとにリスクアナリシス(リスク管理・評価・コミュニケーション)の枠組みで予防的に行うもので、今回のFDAの記事はそのことをよく示しています。しかも事業者や消費者向けの理解しやすい記事となっていてさすがFDAだなと感じました。まずは鉛、ヒ素、カドミウム、水銀に着目しています。

【FDA/GAO】コメ中のヒ素へのFDAの取り組み

米国会計検査院(GAO)は、コメ中のヒ素に関するリスク管理について、FDAなどの関係機関を対象にした監査報告書を発表した。GAOの勧告を受けFDAは、2016年に発表したリスク評価について新たな科学的知見が入手され次第更新作業を行うこと、乳児用コメシリアル中の無機ヒ素のアクションレベル(100ppb)を提示したガイダンス案を12月末までに最終化すること、作業の重複を避けて効率的に有効な成果を得られるよう関係機関との連携体制を構築していくことを発表した。

【FDA】FDAは、危険なほど高濃度の超濃縮物または純カフェインを含むダイエタリーサプリメントに対して消費者保護に一歩踏み出す

FDAは、高濃縮カフェインおよび純カフェインの製品に関して新たに「事業者向けガイダンス:ダイエタリーサプリメント中の高濃縮カフェイン」を発表した。本ガイダンスは、FDAがどのような製品を違法とみなし、何を製造業者及び販売業者が実施すれば違法とみなさないと考えているかを示している。

※ポイント:純粉末カフェインについては2015年頃に注意喚起や警告が何度も出されていましたが、現在も大容量の製品が消費者に直接販売されており、消費者が危険にさらされていることを受けての対応です。要点としては、過剰摂取にならないように、1回分ずつにするか低濃度に希釈して販売するよう述べています。

【EC】内分泌攪乱物質:欧州委員会は植物保護製品についての科学的基準を採択

委員会規則(EU)2018/605 のにより、植物保護製品の制度下で内分泌攪乱物質を同定するための科学的基準の設定について規則(EC)No1107/2009 のAnnexⅡが改定された。欧州委員会は、審査期間中に欧州理事会および欧州議会から反対の表明がなかったことを受けて、この規則を2018年4月19日に採択し、2018年5月10日に施行、2018年11月10日から植物保護製品の新規及び進行中の全申請に対し適用を予定している。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.09(2018.04.25)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201809c.pdf

今号の目次

【WHO】

1. 国際がん研究機関(IARC):キノリン、スチレン及びスチレン-7,8-オキシドの発がん性のIARCモノグラフ評価

【FAO】

1. コーデックス委員会は食品中の動物用医薬品の基準を検討する

2. バランスをシフトさせる:民間部門を、より栄養のある、手頃で入手可能な食事にとって好ましいものにさせる

【EC】

1. EUの食品廃棄問題対策:欧州委員会はヒトの消費向けではなくなった食品を動物飼料として有効利用することを促すガイドラインを公表

2. 内分泌攪乱物質:欧州委員会は植物保護製品についての科学的基準を採択

3. 査察報告書(Health and Food Audits and Analysis):日本、中国、チェコ、スペイン

4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. フードサプリメントに栄養目的で添加される銀源としての銀ヒドロゾルの安全性と生物学的利用能

2. 食品添加物ステビオール配糖体(E 960)の規格を改定案に沿って変更した場合の安全性

3. 食品添加物としてのプロパン-1,2-ジオール(E 1520)の再評価

4. 食品中の残留農薬についての監視データ:有機栽培食品vs通常栽培食品の比較結果

5. 有効成分イプロジオンのMRLsのフォローアップ評価

6. EFSA第23回科学会議-リスク評価における根拠の統合についての欧州食品安全機関(EFSA)及び根拠に基づく毒性学共同研究(EBTC)の合同科学会議

7. 遺伝子組換え関連

8. 飼料添加物関連

【FSA】

1. AKM Foods社はZaiqaインターナショナルミニフルーツゼリーを窒息ハザードのためリコール

【NHS】

1. 缶詰ツナに多量の亜鉛が存在するというメディアの報道は誤データに基づいている

2. ほとんどの英国女性は「栄養的に妊娠への備えができていない」という、レビューに基づく知見

3. 英国のアルコールガイドラインを超える量を飲む人は「1年か2年寿命が縮まる」

【ASA】

1. ASA裁定

2. 実証のイロハ

【BfR】

1. アルミニウムと食品 ― 住民のほぼ半数が日常生活でアルミニウムを避けようとしている

【RIVM】

1. EFSAは植物保護製品混合物の健康リスクを評価するためにRIVMのモデルを使う

【ANSES】

1. ANSES、500件を超える参照値のデータベース構築に着手

2. ANSESは特定の集団に属する人はメラトニンを含むフードサプリメントを摂取しないように呼び掛ける

【FDA】

1. 食品中の有毒金属から消費者を保護するためのFDAの活動

2. コメ中のヒ素への消費者の暴露を低減することに向けたFDAの取り組み

3. FDAは、危険なほど高濃度の超濃縮物または純カフェインを含むダイエタリーサプリメントに対して消費者保護に一歩踏み出す

4. 警告文書

5. リコール情報

【CDC】

1. 花農場での職業暴露による急性メタムナトリウム中毒-ウガンダ、2016年10月

【USDA】

1. ミツバチの健康の変化の経済的影響と対応

【NIH】

1. 専門家向けファクトシート

【US GAO】

1. コメ中のヒ素のリスク管理に対する政府の取り組み

【FSANZ】

1. 新規交配技術を用いた食品-レビュー

【TGA】

1. 安全性助言

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 貝毒基準超過の海域及び品目拡大 追加生産禁止措置

3. 地域の子供の食生活の安全性と栄養水準の向上

4. ホーム・ミール・リプレイスメント(家庭用簡便食品)製造・販売業者の全国合同点検の実施

5. 農産物中の残留農薬への懸念を農薬ポジティブリスト制度が軽減する

6. 鉛が基準を超過して検出された「ジャム」製品の回収措置

7. 市販流通食品用の器具、容器および包装物中のビスフェノール類は安全な水準

8. 無届け輸入、無登録の食品製造及び流通期限の虚偽表示を行った業者等の摘発

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・(ErurekAert)ある種の鉄サプリメントは結腸がん発症に影響するかもしれない

・(ErurekAert)余分な飲酒の隠された健康コスト

・(ErurekAert)化学探索で環境中にあまりよく知られていない難燃剤が検出された

・(ErurekAert)イングランドのグルテンフリー食品処方には膨大な多様性

・(ErurekAert)1日に最大3杯のコーヒーは安全で保護的であるかもしれない

・(ErurekAert)骨折や転倒予防:USPSTFの新しい助言発表

・(ErurekAert)人々は毎日約1ポンドの食品を無駄にしている