ビール缶チキンは有害とBfRが注意喚起

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.15(2014.07.23)を発表した。

注目記事

【EFSA】メチル水銀の暴露に伴う健康リスクとの関連での魚介類(魚・貝類)摂取の健康ベネフィットに関する科学的意見

 欧州食品安全機関(EFSA)が、メチル水銀への暴露による健康リスクとの関連で、魚介類摂取によるベネフィットについての科学的意見を発表した。本意見では、とくに成人の冠動脈疾患リスクへの影響と妊娠中の摂取による子どもの神経発達機能への影響について、魚介類の摂取によるベネフィットを特定し、定量的な評価を行った。

 その結果、妊娠中に約1~2回/週、最大3~4回/週の魚介類摂取は、全く摂取しない場合と比べると、子供の神経発達機能にはより良いと結論した。また、この量は成人の冠動脈心疾患の死亡率リスク低下にも関係しているとした。

※ポイント:以前、FDAが米国民はメチル水銀濃度が低い魚を2~3回/週食べるとよいとする助言を発表しました。今回は、欧州人の食生活を考慮した上での欧州人向けの評価です。

 FAO/WHO専門家会合(2011)の評価では、魚食によるリスクを最小化しベネフィットを最大限に得られるリスク管理/コミュニケーション対策を行うよう勧告されており、国際的には国・地域レベルでその地域の食生活や食べられている魚種などに応じて魚食指導を行うことが求められています。

【NIEHS】プレスリリース:低用量のヒ素は雄マウスにがんを誘発

 米国環境保健研究所(NIEHS)は、ヒトの飲料水中と同程度の低濃度ヒ素に暴露されたマウスの試験結果を学術雑誌Arch Toxicolに報告した。本研究では、マウスに対し、50 、500、5,000ppbのヒ素を含む水を、交配の3週間前から妊娠・授乳中の母親に、離乳後は子どもに直接与え、成長してからも継続的に与えて腫瘍を調べた。

 研究では、50と500 ppbで半分以上の雄マウスが良性および悪性肺腫瘍を発症した。雌マウスでも良性肺腫瘍は観察された。興味深いことに、どちらの性でも5,000ppbでは肺腫瘍は増加しなかった。

※ポイント:ヒ素による肺がんはヒトでも観察されているので、根拠としてはかなり意味がある試験結果です。この結果を受けて、米国ではヒ素の基準(とくに飲料水)が厳しくなる可能性が大きいです。

【BfR】BfRはビール缶チキンをしないよう助言

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、インターネットで紹介されている、ビール缶を使用した鶏肉の調理法は薦められないとしている。焼いたり揚げたりする際の熱で缶の内側のコーティングや外側の印刷から有害化合物が放出され、鶏肉に移行すると考えられる。

※ポイント:インターネットで「ビール缶チキン」や「ビヤ缶チキン」で検索すると関連サイトが多数出てきて、日本国内でもBBQ等で行われているようです。BfRの注意喚起からもわかるように、このような調理法はやめましょう。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.15(2014.07.23)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201415c.pdf

今号の目次

【EC】

1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:エストニア、パナマ、ベルギー、スペイン、フランス、ルーマニア
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】

1. EFSAは国際科学活動を強化
2. メチル水銀の暴露に伴う健康リスクとの関連での魚介類(魚・貝類)摂取の健康ベネフィットに関する科学的意見
3. サンセットイエロー:EFSAはADIを設定
4. 新規食品成分としてのアスタキサンチンを多く含む成分(AstaREAL A1010 及びAstaREAL L10)の安全性に関する科学的意見
5. 食品サプリメント成分としての「セチルミリストレイン酸複合体」の安全性に関する声明
6. 食品と接触する物質関連
7. 遺伝子組換え関連
8. 健康強調表示関連
【FSA】

1. 食品とあなた ウエーブ1及び2:二次データ解析発表
2. チーア種子に意見募集
3. 世論調査結果発表
【BfR】

1. ナプキンやパンの袋などのような印刷されている食品と接触する物質由来一級芳香族アミン
2. 殺鼠剤はヒトハザードとなりうる
3. BfRはビール缶チキンをしないよう助言
【ANSES】

1. フィトステロールで強化された食品:心血管系疾患の予防に関する全体的な利益が証明されていない
2. ANSESは家庭用農薬の研究「Pesti’home」を開始
【FDA】

1. FDAはトータルダイエットスタディの結果を更新
2. 米国はニューヨークのダイエタリーサプリメント製造業者と同意判決
3. 公示(2014年7月8日公表分)
4. 警告文書(2014年6月19日~7月2日分)
5. 粉末の純カフェインについてのFDA消費者向け助言
【NTP】

1. 発がん物質モノグラフ報告ピアレビュー
2. 系統的レビューとエビデンスの統合のためのOHAT枠組みの事例研究適用により学んだことに関するウェブセミナー
【EPA】

1. EPAは昆虫忌避剤について消費者が情報を与えられた上での選択ができるように新しいグラフィックを導入
【NIEHS】

1. プレスリリース:低用量のヒ素は雄マウスにがんを誘発
【CFIA】

1. 食品安全性警告-CFIAは消費者に乳児用調製乳の容器を使用前に確認するよう注意
【FSANZ】

1. 食品基準通知
【APVMA】

1. 有害事象経験の報告書2011及び2012発表
【TGA】

1. 安全性警告(2014年7月17、18日分)
【NHMRC】

1. 鉛の健康影響についての文書案を意見募集のため発表
【香港政府ニュース】

1. 痩身製品警告
2. 乳児用調製乳基準案を再検討
【MFDS】

1. 参考資料(日本産輸入食品の放射能検査の結果)
2. レトルト包装、これが気になります!
3. 性機能の改善など、広告商品の購入に注意!!
4. 2014年下半期、食.医薬品安全政策はこのように変わります
【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(Eurekalert)“専門家はコメのヒ素に懸念の声を上げる”とJournal of Pediatric Gastroenterology and Nutritionが報告
・(Lancet Oncology)IARCモノグラフvolume 110の評価:パーフルオロオクタン酸、テトラフルオロエチレン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-プロパンスルトン
・(その他)食品中の植物に関する会議