洋酒文化の歴史的考察
洋酒文化の歴史的考察

大戦末期の洋酒本と謎のカクテルブック

2013年7月3日 石倉一雄

大戦末期の大連で発行された「酒の話」  一昨年の9月に「モダン・ガールは何を飲んでいたのか」でスタートした連載も、早いもので80回を超えた。スパイ・ゾルゲが愛したカクテル、横浜に明治7(1874)年に上陸し、曲芸のようなフレアで供されたカクテル、昭和11(1936)年に出版された […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(12)

2013年6月19日 石倉一雄

富士屋ホテルの専務取締役山口正造が、失火直後の帝国ホテルの支配人として呼ばれて着任した10カ月間の間に、世界一周旅行団が日本にやって来ることになった。その歓迎式典のためにマウント・フジを考案したのが、東亜ホテル(神戸)から来たチーフ大阪登章であったはず、というのが前回までである。 […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(11)

2013年6月12日 石倉一雄

筆者がこの十年余にわたって帝国ホテル版マウント・フジの謎に挑む過程でまとめてきた「帝国ホテルバーテンダーの系譜」をお目にかける。基本的な資料は今から半世紀以上前の日本バーテンダー協会会誌「ドリンクス」だが、これにさまざまな資料で見つけた事実を加えている。 帝国ホテルの戦前の歴代バ […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(10)

2013年6月5日 石倉一雄

 明治7(1874)年、アメリカ西海岸のヴァレーホ(Vallejo)から横浜にバーテンダーがやって来た。英字紙によれば2つのホテルに1人ずつ別々のバーテンダーが来たことになっているのだが、掲載されたイラストを見る限りこの2人は同一人物の可能性が高い(「横浜・カクテルことはじめ」( […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(9)

2013年5月29日 石倉一雄

伝えられるところでは、犬丸もまた鼻っ柱が強い性格だったようで学生時代に大学とぶつかっており、長春には犬丸が恩師の紹介で入ったとも伝えられる。それにしても、人に頭を下げることが苦手だったと言われる犬丸にふさわしい仕事は他にあったようにも思うのだが、よりはっきりした資料も持ち合わせて […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(8)

2013年5月22日 石倉一雄

筆者の手元に、富士屋ホテルとカクテルのかかわりを示す興味深い資料がある。「回顧六十年」(富士屋ホテル・昭和13年刊、山口堅吉著)の資料編にある明治40(1907)年頃、つまり富士屋ホテルの経営が仙之助から正造に替わった頃のワインリスト(ドリンクメニュー)で、ここには「ジン・カクテ […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(7)

2013年5月15日 石倉一雄

金谷カテージ・インの創業からややあって明治11(1878)年、箱根・宮の下に開業した富士屋ホテルは、そのルーツを元治元(1864)年に開業した外国人向けの娯楽施設「神風楼」(横浜)に辿ることができる。富士屋ホテルの初代山口仙之助は明治18(1885)年の改築でホテル内に酒場(バー […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(6)

2013年5月8日 石倉一雄

改めて調べてみると、富士屋ホテルは旅行など滅多にしない筆者が思い込んでいたような“どこの温泉地にもあるご当地ホテル”などではなかった。明治11(1878)年創業の後も、外国人向けのリゾートホテルとしてさまざまな新機軸を打ち出している。また、立教大学に観光学部が発足したのは、3代目 […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(5)

2013年5月1日 石倉一雄

さて、目先を変えて帝国ホテル版マウント・フジのレシピから探索を続けよう。 クリームとレモンジュース  ミキシング・グラスに氷とベルモットを入れて掻き回し、ジンを加えたものをカクテルグラスに注いでオリーブを一粒浮かべさえすれば、味の善し悪しはともかく、マティーニは出来る。ウイスキー […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(4)

2013年4月24日 石倉一雄

大正時代に世界一周旅行が企画できる旅行会社は、トーマス・クックとアメリカン・エクスプレスの2社を中心に、レーモンド・ウィトコム(ホイットカム)社、クラーク社を含めても4社に過ぎなかった。 大正13年の世界一周旅行団の記録はあるが  当時の通信手段は電信である。世界中の港や観光地に […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(3)

2013年2月20日 石倉一雄

さて、帝国ホテル版マウント・フジの発祥についてしばしば語られてきた、1924年の世界一周旅行団について考えてみよう。 誰にでもできる種類のものではない旅行 洋の東西を問わず、戦前の庶民にとって海外旅行が高根の花であったことは、拙稿でも「VI 女性バーテンダーのさきがけ(1)欧米編 […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(2)

2013年2月13日 石倉一雄

初代帝国ホテル竣工までの事情に関しては「帝国ホテル百年の歩み」に詳しいが、現在残されている設計図と当時の報道には不思議な齟齬がある。 図面に書かれなかったバー  ドイツ人技師の軟弱地盤に対する対応不備のため、ピンチヒッターに立った渡辺譲が1カ月の突貫作業で書き上げた当時の設計図に […]

明治23年に開業した初代の帝国ホテル(画・藤原カムイ)
洋酒文化の歴史的考察

X 帝国ホテルのマウント・フジ(1)

2013年2月6日 石倉一雄

マウント・フジを、日本を代表するカクテルの一つとして御存知の方も多いだろう。昨年拙稿で取り上げたラムベースのJBA版マウント・フジ(IV 赤くなかった“赤富士”)の方がカクテルブックでは一般的だが、ジンと卵白を使用する帝国ホテル版があることも、かなり広く知られている。 マウント・ […]

洋酒文化の歴史的考察
洋酒文化の歴史的考察

IX ジントニックの現在・過去・未来(9)

2013年1月30日 石倉一雄

戦後になっても日本ではほとんど知られることのなかったジントニックを、若者が口にするスタイリッシュなカクテルに持ち上げた二人の作家とは、片岡義男と山田詠美である。 1980年代の若者文化に含まれたジントニック  さまざまなカクテルを若い男女の会話の小道具にした片岡義男の「湾岸道路」 […]