トピックス

2015年食の10大ニュース[6]

FacebookTwitterHatenaLineYahoo BookmarksMixiLinkedInShare

外食分野。トップ3は、マクドナルドの凋落、多様化するハンバーガー市場、コスト上昇圧力強まる。

  1. マクドナルドの凋落、一層加速
  2. 多様化するハンバーガー市場
  3. 人件費高騰、食材原料費高騰など、コスト上昇圧力強まる
  4. “ちょい飲み”市場拡大
  5. 高級コーヒーブームの兆し現る
  6. “肉食”ブーム到来か?
  7. 何度目かの海外進出ブーム
  8. ファミリーレストラン復活の兆し?
  9. 激化する外食と他業界との“胃袋争奪戦”
  10. インバウンド景気対応の動きが活発化

1. マクドナルドの凋落、一層加速

 2014年7月の鶏肉問題以降、客数離れによる急速な経営悪化は上場以来初の赤字決算という結果を招いた。さらに、2015年に入ってから幾多の異物混入事件に関する負の情報のソーシャルメディアによる拡散が止まらず、矢継ぎ早に繰り出されたさまざまな改善施策が思うような成果を上げられず、2015年の1年間、経営改善の兆しは一向に現れなかった。業界トップ企業の急転落は、マスコミの格好のネタとなり、同社の動向が切れ目なく報道された。

 そして12月中旬過ぎに、米マクドナルドによる日本マクドナルドホールディングスの保有株一部売却の動きが新聞各紙の紙面を賑わすことになった。売却がどうなるかは不透明だが、日本の外食産業をけん引し続けてきたファストフードがその力を失い、業界構造が大きく変化していることを印象付ける結果となった。

2. 多様化するハンバーガー市場

 マクドナルドというガリバー企業低迷を商機と見たのか、ハンバーガーチェーンはじめ海外ファストフードの進出が相次いだ。4月の「タコベル」、6月の「ドミニクアンセルベーカリー」は別として、7月に「ベアバーガー」、11月に「シェイクシャック」が上陸し、2016年3月には「カールスジュニア」の再上陸が予定されている。

 いずれも「マクドナルド」よりかなり高い価格帯のグルメバーガーチェーン。日本のハンバーガー市場は「マクドナルド」が切り拓き、多くのチェーンが参入する素地を作った。半面、ロワーポピュラープライスを主戦場とする「マクドナルド」の呪縛が解けず、300円台がハンバーガーの売れ筋価格となっているが、海外からの新興チェーン進出はこの呪縛を解くきっかけとなるかもしれない。

 国内既存チェーンも500円以上の高価格帯商品への期待が大きく、ハンバーガー市場の広がりが見えそう。

3. 人件費高騰、食材原料費高騰など、コスト上昇圧力強まる

 少子化等や景気回復によって人材が他業界に流出する傾向があり、外食業ではそれによる人員不足が深刻化し、人件費上昇が止まらない。また、円安基調が長引き、原材料価格が高騰している。外食業界は、厳しい企業経営の環境にさらされていると言える。

 これを受けて2014年暮れあたりから、業界では値上げ政策をとる企業が増えている。単純値上げでは受け入れられないと、たとえば野菜をすべて国産にするとか、高額商品導入による価格ラインの拡大などの対策を採っている。しかし消費者にはなかなか受け入れられず、客数減という結果を招いている企業が多い。

4. “ちょい飲み”市場拡大

 低迷する居酒屋を尻目に2014年にファミレスや牛丼店に広がった“ちょい飲み”市場が広がりを見せている。

 全ブランドで“ちょい飲み”対応しているすかいらーくでは、主力業態の「ガスト」でアルコールメニューを10種類以上に増やしている。「吉野家」もちょい飲み向けの「吉呑み」併設店を拡大している。ハンバーガーチェーンの「フレッシュネスバーガー」では、ちょい飲み客向けサービス「フレバル」でワイン飲み放題などを展開している。

 さらに、外食だけでなくコンビニエンスストアの「ミニストップ」でもイートインコーナーでちょい飲みをするサラリーマン向けに、輸入ワインや輸入ビール、高級缶詰などを販売する。

執筆者

石川秀憲
石川秀憲
名古屋文理大学教授 いしかわ・ひでのり 大学卒業後、流通専門の出版社「商業界」に入社。「飲食店経営」をはじめ数誌の編集長、新規事業部長、出版部長等を歴任の後、2005年退社。その後、食に関わる講演・執筆活動を続ける。現在、名古屋文理大学フードビジネス学科教授、戸板女子短期大学非常勤講師(フードシステム担当)。昨年まで金城学院大学非常勤講師(フードマネジメント論担当)。ほかに、水産庁の「おさかな語り部」を務める。