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2015年食の10大ニュース[2]

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外食分野。トップ3は、値上げでも支持、インバウンド対策、「はま寿司」躍進。

  1. 値上げでも客数増、が勝ち組の条件に
  2. インバウンド対策が外食でも必須に
  3. 回転ずし市場で「はま寿司」大躍進
  4. 新世代企業が株式上場を果たす
  5. 郊外カフェブームは依然として続く
  6. グルメ化するハンバーガー市場
  7. “大衆酒場”の新顔が続々登場
  8. 外食大手の戦略の行き詰まりが鮮明に
  9. ミラノ万博で日本食が高い支持受ける
  10. “ちょい飲み”は外食を救うか

1. 値上げでも客数増、が勝ち組の条件に

 食材原価は高止まり、人手不足で人件費は高騰の一途と諸コスト上昇の折、それを売価に反映させることが利益確保のうえで必須になってきた。問題は、価格が上がってもなお「価値あり」とお客に思わせることができるか。商品バラエティ強化が奏功した「CoCo壱番屋」、サービスの充実を図る静岡のローカルハンバーグチェーン「さわやか」など、既存店で客単価と客数をともに高めることに成功しているところが強い。

2. インバウンド対策が外食でも必須に

 訪日外国人客2,000万人が射程に入り、インバウンド消費は外食でも見逃せないマーケットに。この対策が外食業でも必須となってきた。ロイヤルは福岡のセントラルキッチンにハラール専用のラインを設け、系列のホテルでハラール認証取得の弁当を販売。ラーメンチェーン「一蘭」が外国語対応のオーダー用紙や食券機を導入するなど、これまでになかった本格化な取り組みが出てきている。

3. 回転ずし市場で「はま寿司」大躍進

 回転ずしではこれまで市場を席巻してきた百円均一型チェーンの勢いにかげりが見られるなか、ゼンショーが展開する「はま寿司」が大躍進。この3年で年間平均70店を新規出店し、いよいよ回転ずしチェーンとして店舗数トップに躍り出る勢いだ。他社が高価格商品投入やサイドメニュー強化に走るなか、平日99円均一に象徴される低価格路線を守ったこと、コンパクトで出店力の高いモデルをつくったことが成功の要因。

4. 新世代企業が株式上場を果たす

 株式市場の堅調を受け、外食企業の上場ペースも回復してきた。新規上場組の取り組みはいずれもユニーク。オイスターバーを展開するヒューマンウェブ(東京都中央区、吉田琇則社長)はカキの浄化・加工センターも持ち、食材レベルで差別化。カフェを主力とするエスエルディー(東京都渋谷区、青野玄社長)は外食とイベント事業やコンテンツ事業を組み合わせた展開を図るなど、既存の外食企業とは異なるモデルを構築している。外食の世代交代を示す動きとも言える。

5. 郊外カフェブームは依然として続く

 名古屋の喫茶チェーン「コメダ珈琲」の大躍進で注目された郊外カフェマーケットの活況が続いている。すかいらーくが新業態「むさし野森珈琲」をスタートしたのに続き、セブン&アイ・フードシステムズが都市部や商業施設内で展開していた「白ヤギ珈琲店」の郊外出店を進めると表明。ドトールコーヒーの「星乃珈琲」はやや失速気味だが、ファミリーレストランに代わる郊外業態としての存在感は増している。

6. グルメ化するハンバーガー市場

 米国の大人気チェーン「シェイク・シャック」が日本に上陸。明治神宮外苑内にオープンした1号店が連日ウエイティング続出の大ヒット。既存のハンバーガーチェーンでも、「ファーストキッチン」が「ウェンディーズ」とのダブルブランド店で高価格ハンバーガーを提供したり、「モスバーガー」が好評の“とびきり”シリーズの品揃えを強化するなど、ハンバーガーの世界で高付加価値化が進行している。

7. “大衆酒場”の新顔が続々登場

 店のたたずまいは昔ながらのものだが、商品やサービス面で進化を遂げた“大衆酒場”の新顔が若者客の支持を集めている。産直食材でマニアックな品揃えを追求した「食道楽」、“ギョーザとビール”の鉄板の組合せ+一品料理のメニュー構成が絶妙な「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」、店内加工の牛タンを柱に新しい居酒屋業態をつくった「牛タン いろ葉」など。既存居酒屋チェーンに飽き足りない層のニーズをつかんだ。

8. 外食大手の戦略の行き詰まりが鮮明に

 その居酒屋マーケットで長く勝ち組だったワタミが急失速。“ブラック企業”批判も一因だが、“低価格化 → 高付加価値化 → 低価格化”と商品戦略がブレた上に、消費者に訴える価値を実現できなかった点に問題がある。年末に米国本社が株売却とのニュースが出た日本マクドナルドも、グルメ化で活気づくハンバーガー市場でカヤの外に置かれた格好。過去の成功体験が通用しない時代になったことを痛感させる。

9. ミラノ万博で日本食が高い支持受ける

 イタリア・ミラノで開催された万国博覧会で、日本館に出店した外食が現地のお客から高い支持を得た。懐石料理店「美濃吉」から、カレーの「CoCo壱番屋」やそばうどんの「サガミ」など大衆的な食事を提供する店も含めて、いずれも目標を大きく上回る売上げを記録。和食が世界文化遺産登録された際の評価ポイントである「多様性」を世界に知らしめた。並んでまで食べる習慣がないイタリア人が行列をつくったことでも話題に。

10. “ちょい飲み”は外食を救うか

 吉野家の「吉呑み」、すかいらーくの「ガスト」や「バーミヤン」に代表される“ファミレス飲み”など、気軽な“ちょっと一杯”ニーズを吸収しようという試みが目立った。ディナー帯の売上げ不振対策が出発点だが、早い時間帯から飲みたいシニア層など新しい客層と利用動機の開拓にもつながっている。コンビニエンスストアに奪われていたニーズを再奪取したとの見方もあるが、しょせんは隙間商売。いつまで続くか。

執筆者

土肥大介
土肥大介
柴田書店代表取締役 とひ・だいすけ 1987年明治大学卒業。柴田書店入社。「月刊食堂」編集長を経て、2005年代表取締役就任。