2010年食の10大ニュース[9]

「2010年食の10大ニュース」は予想以上に各界の皆様からご協力をいただきました。食について、正しい情報、真に有益な情報を発信したいという皆様の情熱の強さに改めて敬意を表し、ご協力に感謝申し上げます。

 そして、FoodWatchJapanをご覧くださっている皆様の情熱も感じております。仕事納めが終わった後も閲覧数は高く、スタッフ一同冥利に尽きることと存じ、読者の皆様に感謝申し上げます。

「2010年食の10大ニュース」は当初まとめて一つの記事としてご紹介しようと計画していましたが、ご執筆いただいた皆様の記事の一つひとつがユニークかつ重要な情報を豊富に含んでいますので、編集部で手を加えることはなるべく控え、できるだけそのままの形でご紹介させていただいております。

本日は一挙7名の方々の記事をお届けします。

「2010年食の10大ニュース」、続いては外食産業分野の識者4名の登場です。(FoodWatchJapan 齋藤訓之)

  1. 低価格居酒屋業態一気に増殖
  2. 飲み放題・食べ放題メニュー導入進む
  3. 牛丼安売り戦争過熱
  4. 猛暑でビアガーデンは好調も、農家・漁師は悲鳴
  5. 食べるラー油ヒットでオンメニュー相次ぐ
  6. 受動喫煙防止対策迫られる
  7. 女子会人気でコース導入店拡大
  8. 消費者庁が全国焼肉協会にロース表示で指導
  9. 飲食店のツイッター活用広がる
  10. 空前のハイボール人気でサントリー〈角瓶〉の原酒がタイト、出荷調整に

低価格居酒屋増殖。均一価格は「鳥貴族」一人勝ちか

 居酒屋では大手を中心に低価格総合居酒屋が急激に増加。昨年までの不振店対策から一転、コロワイドや三光マーケティングフーズは新店を低価格居酒屋中心にしている店が特徴だろう。

 レインズインターナショナルは「ぶっちぎり酒場」をFC化、ワタミはレジを置かない完全セルフ式の低価格居酒屋「仰天酒場和っしょい2」を開発し業界を驚かせた。養老乃瀧は食材を養老乃瀧と共通化した「一軒め酒場」でコストパフォーマンスの高さを訴求する。

 低価格ではない居酒屋チェーンでも100円台や200円台のメニューを拡充するなど、低価格総合居酒屋の影響が通常の居酒屋チェーンへも波及した。

 来年の展開としては、低価格均一居酒屋を展開する企業は「価値訴求が差別化につながる」と考え、商品力強化、居酒屋の楽しさの提案に力を入れる意向だ。

 専門均一業態では、大手が総合居酒屋の低価格均一業態に踏み切る遙か以前から、業態確立を進めてきた「鳥貴族」が強さを発揮。東京への旗艦店出店も果たし、首都圏での知名度向上を一気に進める意向だ。

 1985年、東大阪に鳥貴族第1号店を創業した同社は、大手の低価格総合居酒屋とは一線を画す。26年もの間、強力な商品力と専門性をブラッシュアップしてきており、来年1月には200店舗を達成する予定で、専門均一業態では同社が一人勝ちの様相を呈している。

牛丼戦線、勝負は終盤か。居酒屋にはバイキング形式も

 牛丼チェーンでは低価格競争がさらに熾烈化。「すき家」「松屋」が09年12月に値下げを実施し、その後も期間限定で割引キャンペーンを定例化し、「吉野家」をジリジリと追い込んだ。「なか卯」も牛丼の値下げを決めるなど、先行する値下げ組にお客がながれ、「吉野家」も価格面を意識した〈牛鍋丼〉などの280円メニューを投入し後半に巻き返しを図ったが、すでに勝負はついた感があった。

 今年はデフレに伴う価格志向の強まりを受け、「飲み放題」「食べ放題」「焼酎無料」や「生ビール100円」などといったサービスを導入する店が一気に拡大した。なかでも、「飲み放題」「食べ放題」メニューは酒類や料理のバライエティがこれまでの「放題」より格段に広がっており、潜在ニーズを大きく掘り起こした格好だ。「焼酎無料」で話題を集めた「居酒屋革命」は店舗を大幅に縮小し建て直しを図っているという。

「飲み放題」「食べ放題」から派生した流れとして、今年後半あたりから出てきたビジネスモデルが、「バイキング居酒屋」だ。これまで「備長扇屋」「日本橋紅とん」など500店におよぶ飲食店をプロデュースしてきた山本浩喜氏が東京・三軒茶屋に出したバイキング居酒屋に続き、12月8日、今度は「元祖神戸バイキング本舗」の店名で東京・赤坂にオープン。昼はうどんバイキング、夜は居酒屋バイキングの二毛作で仕掛ける。料理のクオリティも高いのが特徴で、均一総合居酒屋の対抗軸として、この流れは来年以降さらに本格化しそうな気配だ。

川端隆
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日本外食新聞編集長 かわばた・たかし 酒販分野の専門紙、農業コンサルティング会社を経て、外食産業新聞社入社。2011年より現職。