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マクド不調は基本力低下では

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 日本マクドナルドの4月の月次セールスレポートを見ると、前年同月比の全店売上高が▲21.7%、同既存店売上高が▲21.5%、同客数が▲15.3%で、引き続き2桁のマイナスが続いています。同客単価も▲7.3%です。この10カ月間2桁のマイナス(既存店売上高は最大で2015年1月の▲38.6%)が続く異常事態を更新しています。

 きっかけを求めれば2014年7月の上海福喜食品有限公司の不祥事問題からということになりますが、業態、メニュー、低価格路線に対する飽きなどを指摘する向きも少なくありません。もちろん、それらの中にも改善すべきポイントはあるでしょう。

 ただ、私は日本の「マクドナルド」としての基本に立ち返るべきものがあるように見ています。それは米国や他の国の標準と同じかもしれませんし、違うかもしれません。どちらにせよ、日本でかつて私たちが見てきた「マクドナルド」と、今の「マクドナルド」はちょっと違って見えます。

 どこが違うか。最近近隣の「マクドナルド」で実際に商品を買ってみたときの観察から言えば、たとえばこんなことがありました。

 商品提供に時間がかかりすぎている、ないしは提供時間にムラがある。ハンバーガーとコーヒーを注文したとき、そのオーダーは問題なくキッチンに伝達されていました。すぐにハンバーガーの調理・組み立ても始まり、それは問題なく迅速にデシャップに置かれました。ところが、それがこちらに出て来ないのです。

 セールス担当者がカウンターでの応対に付きっきり。何度かデシャップにハンバーガーが1個置かれているのは振り返って気付いていますが、それを取りに行って提供するわずかな時間が取れない。キッチン担当者はルールのためか、それをカウンター脇に立つ私に渡すことをしない。

 また、途中でわかったのですが、両者とも前のお客の全品同時提供にこだわっていて、品がそろうまで次に取りかかれないようでした。私のハンバーガーは、結局前のオーダーがさばき切れた後、それからコーヒーを用意して提供されました。

 この提供時間は1分30秒を超えましたが、ちなみにこれは私がかつて携わっていた他のファストフードチェーンのミステリーショッパープログラムでは大きな減点対象です。

 また、「マクドナルド」のツーオーダー調理システムである“MADE FOR YOU”がスタートした頃は、客席で手にしたハンバーガーの熱さに驚いたものですが、当然このときはその感動を味わうことはありませんでした。

 そしてさらに気になったのは、その間ずっと、キッチン担当者の足もとには紙くずが落ちていて、コロコロと行ったり来たりしていたのでした。これはクレンリネスとしてもサニタリーとしても問題ですが、キッチン担当者は明らかにその障害物を意識していて移動の足さばきも妨害していたのです。それを拾って捨てて手を洗うことを、彼はなぜしなかったのか。その動作に時間は取られても、その後の仕事の効率はずっと上がったはずです。

 単純に考えれば、これらは人員不足が原因なのかもしれません。しかし、休日の夕方で客数の予測は比較的立てやすい時間帯であったはずで、シフトミスによるとは考えにくいものです。すると、そもそもいつでもシフトに入れるクルーの登録数が足りないのか?

 いずれにせよ、これは個別の体験ですから全店で同様だとは言えません。しかし、「マクドナルド」店舗でのこのようなぎこちないオペレーションは過去ほとんど見た記憶がないので、しみじみとショックを受けました。通常の営業を保つ上で、何か根本的な問題が生まれているのではないか、そう感じた次第です。

※このコラムはメールマガジンで公開したものです。

執筆者

齋藤訓之
齋藤訓之
Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。「FoodScience」(日経BP社)では「食の損得感情」を連載。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。日本フードサービス学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ → ※齋藤訓之のブログ →