出来なければ金が入るしくみ

 またぞろバター不足ということで不安に感じている消費者が増えているようですが、業務用に使用している企業ではより深刻な話題です。

 農林水産省は5月に7000tの緊急輸入を決めたのに続き、このほど3000tの追加輸入を発表しました。

 日経などによれば、このうち5月に決めた7000tの一環として独立行政法人農畜産業振興機構(東京・港)が9月10日に実施した360tの輸入バターの入札では、乳業メーカーや商社など7社が前年同期より3割高い平均1133円/kgで落札したということです。

 うはうはですね。

 バターなどの乳製品は、コメ、小麦、砂糖などと並んで事実上の国家貿易が行われています。それは「生産者を守るため」ということです。

 この事情を漫画風に書けばこうなります:

 国内でモノができなくなる → 特殊法人が独占的に輸入 → 利ざやが「生産者を守る」補助金の原資に → 作らなくても金が入る → 国内でモノができなくなる(フリダシに戻る)

 いずれコメも緊急輸入が頻発する時代が来るかもしれませんね。

 もちろん、それぞれの立場でそれぞれに言い分はあるでしょう。しかし、現象を遠近(おちこち)に眺めてみて、より優れたシステムを考え求める勇気も必要ではありませんか。

※このコラムはメールマガジンで公開したものです。

齋藤訓之
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Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。「FoodScience」(日経BP社)では「食の損得感情」を連載。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。日本フードサービス学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ → ※齋藤訓之のブログ →