日本人の忙しさにマッチして発達した“インスタント中華料理”

日本のスーパーのインスタントラーメン売り場
日本のスーパーのインスタントラーメン売り場

日本のスーパーのインスタントラーメン売り場
日本のスーパーのインスタントラーメン売り場
中国のスーパーのインスタントラーメン売り場
中国のスーパーのインスタントラーメン売り場

前回話題にした合わせ調味料は、和食であっても洋食であっても、定番の味覚を“複製”して再現する。実際、中華合わせ調味料だけではなく、イタリア料理用の合わせ調味料などがあり、スパゲティ用の合わせ調味料などは茹でたてスパゲティにまぜるだけでレストランの味と思うようなものが再現される。

 さて、そうした合わせ調味料による“ファスト中華料理”よりももっと速く、シンプルな中華料理が日本にはある。“インスタント中華料理”だ。

どこでも準備不要で出来るインスタント中華料理

 その代表は言うまでもない、誰もが知っているインスタントラーメンだ。これは20世紀の大発明と言われる革新的な食品であり、日本から世界へ広がった。日本から世界への大貢献とも言える。ラーメンは本来面倒で作りにくい料理だが、インスタントラーメンは食材や調味料などの準備は一切不要で、どこでも、お湯があれば数分で温かな本物のような味のラーメンが出来上がる。

 インスタントラーメンは、中国のスーパーでも日本とほとんど変わらない品揃えと売場があり、インスタントラーメンがいかに海外へ広がり、受入れたかがうかがわれる。

 さらに、このような進化はラーメンだけではなく、インスタントチャーハンなども登場している。

 そもそも日本の生活と仕事のペースは速く、それに合わせて弁当、惣菜、間食が多数売られている。コンビニやスーパーに弁当やインスタントラーメンの広い売場があることは、いかに日本人が忙しく、勉強や仕事以外の時間を節約しているのかを表している。

 また、ファスト中華料理やインスタント中華料理といった調味料や食品が日本で生まれた背景には、やはり、日本での中華料理人気があるだろう。

 家でも中華料理を作りたいニーズに合わせて生まれた“中華合わせ調味料”のネーミングの“合わせ”は、中華料理を作るためにに合わせたというのと同時に、これらの商品が顧客のニーズに合わせることの重要性も示唆しているように感じさせる。

ファストとインスタントによる心配

 ファストやインスタントといった速さと便利さは人気を博し、とくに若者の間で広く受入れていている。我々の生活と仕事のペースも、こういった食品の登場でどんどんスピードが上がっている。

 そこで、ふと思った――このようなものがあれば、誰でも中華料理が作られるので、わざわざ中華料理の店まで足を運ぶ必要もないではないか。さらに、それがあれば、中華料理店は誰でも開けるではないだろうか。また、こうしたものが普及するのに伴って、合成調味料ではない自然の調味料や、機械で加工された乾燥ラーメンと具ではない、農作物から人の手で作る味に鈍感になってしまう恐れがあるではないか、ちょっと気になっている。とは言え、中華料理店やラーメン屋さんなど実際の店舗も依然人気のようだから、この心配はあまり必要がないかもしれない。

 ファスト中華料理とインスタント中華料理は、「おうち中華」とも言われている。それは“便利”というセールスポイントで人気を博し、市場で定着している。ところで、実は簡単で随意であるといった便利さは、本来中国料理の大きな特徴なのである。そこで、次回は中国料理の本当の特徴についてご紹介しよう。

徐航明
About 徐航明 18 Articles
じょ・こうめい Xu Hangming 中国の古都西安市出身。90年代後半来日。2000年東京工業大学大学院卒業。外資系通信機器メーカーを経て、2002年から電機メーカーに勤務。中国向けの標準化とアライアンス活動に携わっている。中国や日本などの異文化の比較研究、新興国のイノベーションなどに興味を持ち、関連する執筆活動を行っている。著書に「リバース・イノベーション2.0 世界を牽引する中国企業の『創造力』」(CCCメディアハウス)があり、「中国モノマネ工場――世界ブランドを揺さぶる『山寨革命』の衝撃」(阿甘著、日経BP社)の翻訳なども行っている。 E-mail:xandtjp◎yahoo.co.jp(◎を半角アットマークに変換してください)