カナダでノロ感染。カキ原因か

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.05(2017.03.01)を発表した。

注目記事

【カナダ公衆衛生局】カキの喫食に関連した胃腸疾患

カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)は連邦および複数州の公衆衛生当局と協力し、生および加熱不十分のカキに関連してブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、およびオンタリオの3州で発生している胃腸疾患患者を調査している。連邦レベルの調査が継続しているが、当該州の公衆衛生当局は、患者とブリティッシュ・コロンビア州産のカキの喫食との関連を特定した。

 患者全員に対し検査が実施されたわけではないが、数人の患者でノロウイルス感染が確認されている。まだ検査が行われていない患者についても、汚染されたカキの喫食を原因とするノロウイルス感染症が疑われる。

【Eurosurveillance】ドイツでのノロウイルス患者数の急増と新しい組換え株の出現

 Eurosurveillance発。ドイツでの2016年冬期のノロウイルス届け出患者数の増加は予想より早く始まり、かつ大幅なものであった。連邦の公衆衛生当局に報告された11月の検査機関確定患者数は、2011〜2015年の中央値が7,810人であったのに対し、2016年は14,872人であった。この急増は、新規変異株が既存の流行株に対するヒト集団免疫を回避する能力を持つことに由来する可能性がある。本研究では、新規のノロウイルス株が今回の患者数急増の原因であるかを検討するため、現在流行しているノロウイルス株の系統発生学的解析を行った。

 分子遺伝学的解析の結果、ドイツのAGEアウトブレイクや散発性患者で過去に記載されたことがない新規の組換えノロウイルス株が複数特定された。

 ドイツ9連邦州の散発性AGE患者およびノロウイルスアウトブレイク患者に由来する検体から、新型のノロウイルス株GII.P16-GII.2が検出された。

 新規の2016 GII.P16-GII.2組換え株は、国際的な分子サーベイランスデータベースであるNoroNetにオーストラリア、フィンランド、フランスおよびロシアから、また過去には日本や中国から散発的に報告されていることから、世界的な蔓延が示唆される。

 現時点では、今回の新規の組換え株が疾患の重症化に関連するかどうかは不明である。

【オランダ国立公衆衛生環境研究所】牛肉食は鶏肉食より基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌への曝露リスク高い

 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)発。基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL: extended-spectrum β-lactamase)を産生する糞便系大腸菌群(E. coli)は生の鶏肉の汚染率が最も高いが、生または加熱不十分な牛肉の喫食の方が、消費者が曝露する菌数が多いと考えられる。

 さまざまな種類の食肉の調査によると、ESBL産生菌への曝露の約80%が牛肉由来であると考えられる。ESBL産生菌の大部分は生の鶏肉から検出される。しかし、鶏肉は生では喫食されないため、鶏肉の喫食によってこれらの菌に曝露することは少ない。

 ESBL産生菌への曝露によってこれらの菌がヒトに定着し、その結果ヒトに大きな健康被害をもたらすかどうかについては現時点では不明である。

(注目記事のまとめ:Food Watch Japan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.05(2017.03.01)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201705m.pdf

今号の目次

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:生および加熱不十分のカキの喫食に関連した胃腸疾患アウトブレイク(2017年2月24日付更新情報)
2. 公衆衛生通知:大腸菌感染アウトブレイクを調査中(2017年2月27日付更新情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州疾病予防管理センター(ECDC)が初めてのモバイルアプリとして感染症情報に関するアプリを公開

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【Eurosurveillance】
1. ノロウイルス患者数の急増と新しい組換え株GII.P16-GII.2の出現(ドイツ、2016年冬)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. アイルランド食品安全局(FSAI)の相談窓口が2016年に受けた食品関連の苦情の件数は計3,202件

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. 牛肉の喫食の方が鶏肉より基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌への曝露リスクが高い

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. デンマークにおける2016年の感染症

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報

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