2016年食の10大ニュース[6]

2016年で気になった出来事をまとめてみました。

  1. 特定保健用食品の許可取り消し事案が発生
  2. 加工食品の原料原産地表示制度、中間とりまとめ
  3. BSEの国産牛対策、健康牛の検査を廃止へ
  4. 築地から豊洲への市場移転が延期に
  5. 冷凍メンチカツで腸管出血性大腸菌O157の食中毒
  6. 「肉フェス」でカンピロバクター食中毒
  7. 日生協連、19都県食事調査で、放射性物質2年連続検出せず
  8. 廃棄ビーフカツ横流し
  9. 有毒植物の誤植による食中毒多発。死亡例も
  10. 北海道の台風など、自然災害による農業の被害

1. 特定保健用食品の許可取り消し事案が発生

 9月に、特定保健用食品6件の許可取り消し事案が発生。許可時の関与成分が規定量含まれていないもの、関与成分がそもそも含まれていないものがあった。また、特定保健用食品1271品目を調査したところ、現在販売されていないものが903品目もあったという。連絡がとれないメーカーもあった。

 消費者委員会では、特定保健用食品の収去検査を行うべきではないか、特定保健用食品には「更新制」の導入を検討してはどうかなど、議論されている。届け出制の機能性表示食品が増加する中、トクホマークが信頼を失なわないための対策が求められている。

2. 加工食品の原料原産地表示制度、中間とりまとめ

 加工食品の原料原産地表示は、2000年に梅干しとらっきょう漬けを対象に導入されたのが、最初。中国産の梅を和歌山県で加工して「紀州南高梅」として売ったり、同じく輸入のらっきょうを鳥取県で加工して「鳥取発らっきょう漬け」など、まぎらわしい表示が問題視されたためだ。

 原料が国産品か輸入品かで価格差があったり、品質の差が大きい食品の場合、消費者としても原料原産地を知りたいところだ。

 しかし、中間とりまとめが出た加工食品の原料原産地表示制度は、すべての加工食品を対象とするもので、「可能性表示」、「製造地表示」などの例外表示が含まれている。事業者団体、消費者団体とも反対意見を表明し、混迷を深めている。

3. BSEの国産牛対策、健康牛の検査を廃止へ

 BSE(牛海綿状脳症)の国産牛はこれまでに36頭確認されたが、2002年1月生まれの1頭を最後として、それ以降に生まれた牛ではBSEの発生は確認されていない。

 国産牛の検査対象は、当初月齢を問わない全頭検査だったが、2005年以降順次見直しが行われ、現在は48か月超となっている。この検査を廃止すべく、厚生労働省が、現在パブリックコメントを募集中。そのまま通れば、2017年4月から検査が廃止される。ただし、神経症状を示す牛などは、引き続き検査対象とされる。

 BSEの被害がもっとも深刻だった英国でさえも、すでに健康と畜牛の検査は廃止している。日本でもついにこの検査が終了すると思うと、感慨深い。

4. 築地から豊洲への市場移転が延期に

 築地中央卸売市場は、市場でありながら、観光スポットにもなっている。見学を受け入れており、ルールを守れば、仲卸のエリアに入り込めて、さまざまな魚に接近できる。そこが魅力なのだが、一般人がそれほど魚に近づける市場で、安全は守れるのか。世の中には、悪意をもった人もいる。

 豊洲市場の新施設では、オープンな築地市場と異なり、閉鎖空間の中で、適切な温度管理も可能となる。HACCPの導入も推進されるだろう。新しい衛生的な施設で、築地のプロフェッショナルな人々のノウハウをさらに生かしてほしいと思うのは、私だけではないはず。

5. 冷凍メンチカツで腸管出血性大腸菌O157の食中毒

 静岡県内の食品製造業者タケフーズが製造し、米久が販売した「冷凍メンチカツ」などで、O157の食中毒が発生。メンチカツだから、揚げたら加熱殺菌されるのに、なぜ、という疑問が生じたり、「冷凍食品」かと思えば、規格基準がない「そうざい半製品」だったりして、もやもやする事例。

 問題となった冷凍メンチカツは、回収されているが、「冷凍」であるだけに、購入されたまま気づかれずに、家庭の冷凍庫にしまわれている可能性もある。要加熱の注意書きが目立たなかったり、家庭での調理だと、少ない油で一度にたくさん揚げて、加熱が不十分となったりするのかもしれない。腸管出血性大腸菌O157の食中毒では、死者が出ることもあるだけに気になる事例だ。

6. 「肉フェス」でカンピロバクター食中毒

 春の連休の時期、「肉フェス」と称するイベントで、カンピロバクター食中毒が発生。原因食品は、見るからに生っぽい「ハーブチキンささみ寿司」。このイベントは5カ所で行われ、東京と福岡の2カ所で500人を超える被害者が出た。

 牛肉を用いた「肉すし」を提供する店が増えて、専門店もあるようだ。牛肉の場合、生食用食肉の規格基準が定められているが、鶏肉はカンピロバクターが付着している率が高く、生食により食中毒が多発している。「肉フェス」では、「新鮮だからこそできる鶏ささみ寿司」とアピールしていたが、鮮度が高くても、加熱しない限り、食中毒は防げない。

7. 日生協連、19都県食事調査で、放射性物質2年連続検出せず

 日本生活協同組合連合会が、3月に、家庭の食事に含まれる放射性物質の2015年度の調査結果を発表。2014年度に続き、すべての調査世帯で、放射性セシウムは検出されなかった。検出限界は1Bq/kg。つまり、1ベクレルも検出されなかった。

 農畜産物も、基準値超過はほとんど見られなくなった。福島県で行っている玄米1千万点を超える全量全袋検査でも、平成28年産米で基準値超過はなし。福島県沖の水産物も、ほとんどが不検出。

 基準値超過が見られるのは、野生のきのこや山菜、いのししなど、生産管理ができない食品だ。

 こうした現状は、もっと報道されてほしい。

8. 廃棄ビーフカツ横流し

「カレーハウスCoCo壱番屋」の壱番屋が廃棄した冷凍ビーフカツが横流しされ、不正転売された事件。横流しした産業廃棄物処理業者は詐欺罪で有罪に。同社従業員が買い物中にビーフカツを発見し、本社に通報して、事件が発覚した。壱番屋側はすぐに調査し、公表して、消費者に「食べないように」呼びかけ、幸い、健康被害はなかったようだ。

 産業廃棄物の処理は、産業廃棄物管理票(マニフェスト伝票)により確認することとなっているが、抜け道があることを見せつけた事例だった。

9. 有毒植物の誤植による食中毒多発。死亡例も

 有毒植物を食用の植物と誤って食べて食中毒になる事例が、全国で発生。イヌサフラン、トリカブトなどで、死亡例も。家庭で、スイセンをニラと間違えたり、バイケイソウをウルイと間違えたりする例が多いが、農家がニラと誤ってスイセンを出荷したり、ギョウジャニンニクと誤ってイヌサフランを出荷するなど、プロらしからぬ例も。

10. 北海道の台風など、自然災害による農業の被害

 8月の北海道に4つの台風が襲来。じゃがいも、たまねぎなど、農産物の被害が甚大で、メーカーも加工原料の産地切り替えを行うなど、対応に追われた。野菜の値段が上がり、家庭の台所に影響も。

瀬古博子
About 瀬古博子 4 Articles
消費生活アドバイザー せこ・ひろこ 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会会員。東京都食品安全情報評価委員会委員。行政機関で食品安全の広報、消費者対応等に従事。