2014年食の10大ニュース[8]

  1. 冷凍食品農薬混入事件
  2. 中国での期限切れ鶏肉等の問題
  3. ペヤング害虫混入事件
  4. クドア食中毒、年間30件に
  5. 豚の生食、規制の方向
  6. 小学校でのジャガイモ食中毒、今年も発生
  7. 輸入冷凍ししゃもに異物混入
  8. 小魚へのフグ混入
  9. ジビエのガイドライン作成
  10. エボラ出血熱による食品不安

1. 冷凍食品農薬混入事件

 アクリフーズの冷凍食品農薬混入事件は2013年末に発覚し、2014年1月に犯人が逮捕された。コロッケからマラチオンが15,000ppm検出され、製品回収が行われた。国内工場での犯罪事例であり、アクリフーズの対応の不手際もあって、衝撃は大きかった。食品防御(フードディフェンス)対策が食品企業の課題として注目されるが、消費者にも自衛の意識が必要だ。

2. 中国での期限切れ鶏肉等の問題

 中国の食品会社、上海福喜食品が期限切れの鶏肉や床に落ちたパテなどを食材として利用するショッキングなテレビ報道。日本マクドナルド、ファミリーマートは同社製品の販売を中止。中国産食品への不安が高まったが、中国では外資系食品企業たたきの側面も。

3. ペヤング害虫混入事件

 健康被害を及ぼす問題ではないかもしれないが、消費者の立場からは到底受け入れられないゴキブリ混入。しかし、“ペヤンガー”と呼ばれる熱烈なファンもいて、愛される商品らしい。混入の原因究明や再発防止対策の報告を待ちたい。

4. クドア食中毒、年間30件に

 以前「原因不明有症事例」とされた寄生虫クドアの食中毒。2014年(12月2日までの速報値)の発生件数は30件、患者数は316人に。原因食品は、ほとんどがヒラメの刺身。同じく寄生虫で、しめサバやサンマの刺身などを原因食品とするアニサキスの食中毒も40件以上。生食が増加するなか、寄生虫はあなどれない。

5. 豚の生食、規制の方向

 牛レバー生食禁止の後、豚レバーの生食を提供する店が出現し、厚生労働省では規制する方向へ。豚の生食については食品安全委員会がリスク評価を実施中。E型肝炎、サルモネラ、カンピロバクター、トキソプラズマなど多くの危害要因が存在し、内部までよく加熱することが必要。

6. 小学校でのジャガイモ食中毒、今年も発生

 今年も福井県と北海道の小学校で、学校栽培のジャガイモを原因食品とするソラニンの食中毒が発生。緑化した小さなジャガイモは食べない、ジャガイモを日の当たる場所で保存しないなどの注意が必要。これまでに何度も小学校での発生事例があるのに、なぜ繰り返されるのか。

7. 輸入冷凍ししゃもに異物混入

 ベトナムから輸入された冷凍ししゃもに汚物と殺鼠剤ダイファシノンが混入し、自主回収された。ベトナムで食品加工会社の元従業員逮捕。幸い健康被害はなかったが、全国26都府県で販売されていた。

8. 小魚へのフグ混入

 豆アジなどの小魚のパックにフグの稚魚が混入する事例が相次いで発生。有毒部位を除去していないフグの混入は食品衛生法違反であり、混入が見つかったものは自主回収となった。シラスへのフグ稚魚混入については、回収の必要性の議論も。

9. ジビエのガイドライン作成

 ジビエブームが盛り上がる中、厚生労働省が野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドラインを作成。野生動物は食中毒原因微生物や寄生虫をもつ可能性が高く、シカ肉を生で食べてE型肝炎を発症した事例もある。おいしい食べ方だけでなく、衛生管理、安全な食べ方についても広く知られてほしい。

10. エボラ出血熱による食品不安

 エボラ出血熱の感染拡大が深刻化し、アフリカ産の食品に不安を感じる人も出てきた。WHOでは、エボラウイルスは加熱によって不活化するため、食品に適切な調理と加熱が行われていれば、食品によってヒトが感染することはないとしている。

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About 瀬古博子 7 Articles
消費生活アドバイザー せこ・ひろこ 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会会員。2018年3月まで、内閣府食品安全委員会事務局で、リスクコミュニケーション等に従事。